救命ボートの場所も日々気を付けて確認
クイーン・メリー2の避難ボートと救命艇
船と陸を結ぶテンダーボートに救命艇を使うことも
オレンジや黄色の救命艇は、いざという時、乗客を乗せて、機械で海上に下します。何事もなければ、この救命艇に乗ることがないのか……というと、実は乗る機会のあるクルーズもあります。例えば、客船が大きくて港に付けられない場合、100人単位で乗ることができる救命艇が「テンダーボート」として、客船と港をピストン輸送して、寄港地に運んでくれます。船の中身がどのようになっているか、見ることができます。この救命艇には、いざという時のための飲み水や食料なども保管されています。
海に落ちると救命ボートに変身
救命艇は船の両側に設置されていますが、何かしらの事故で船が傾いてしまった場合、両方の救命艇が下せない場合もあります。そんな時に役立つのが救命ボートです。一見、ビール樽のような形ですが、白い筒型のものです。いざという時は、付いている紐を外して海に落とすと海に浮いて屋根付きのボートになります(ちなみに韓国のセウォル号の救助の来た人がこのボートを海に落とそうとしてもできなかったのは、船の売買が行われて運ぶ際にしっかりと固定していたものをそのままにしていたため、使えなかったと言われています)。
自分の救命艇に間に合いそうにない場合は、デッキに出て樽型の救命ボートを探してみましょう。また予備のライフジャケットもデッキのベンチの中に収納されたりしているので、船を探検しながら、場所を確認してみるのもいいですね。
厳しいクルーたちの責任と訓練
船長たちは細心の注意とハイテク機器で操縦
現在、客船の場合は精密な機械を使って船を運航させています。衝突や座礁などはもちろん船が怖いのは火災。そのためすべての部屋やパブリックルームにはスプリンクラーが付き、カーテンや家具なども燃えにくい素材が使われています。操舵室では、火災や海水が入りこむなどの異常を知らせる装置があり、必要に応じて頑丈な扉で被害を最小に抑える仕組みになっています。
救命艇のメンテナンスを行う機関士
そして、いざという時は船のクルーが一丸となって、乗客を誘導するシステムになっています。そのために、ウエイターも客室担当のクルーも全員が2週間に1度、クルーだけの訓練を受けています。機関士たちは救命艇がちゃんと動くかの確認も怠りません。
クルーズが少し身近になってきたのは最近のようにも感じますが、船は古代からの乗り物です。特に客船は多くの乗客が乗り込むために、日々その安全な航海ができるようにさまざまな工夫や努力が行われているのです。