サルコイドーシスの検査
胸部X線やCT検査で、両側肺門リンパ節腫脹、肺の中での病変を検査します。この病気は、結核の診断に使用されるツベルクリン反応が陰性になります。たいていの人が予防接種などで陽性になるので、今まで陽性だった人が急に陰性になった時には注意が必要です。血液検査では、血清ACE(angiotensin converting enzyme)という血圧を調節する体内の酵素の活性の上昇が見られます。血液または尿でのカルシウムが高い値を示します。
炎症やがん細胞に集積するGallium-67 citrateという放射線を出す物質を体内に入れ、全身を撮影するシンチグラムという検査を行うと、肉芽腫のある場所を特定できます。また、気管支鏡を使って気管支に生理食塩水を入れて回収する検査である気管支肺胞洗浄検査を行います。この気管支肺洗浄液の中では、リンパ球という白血球、特に、CD4陽性のリンパ球(ヘルパーTリンパ球で免疫の司令塔の役割を担う)が増えているのが確認できます。
さらに、皮膚で行われることが多いですが、実際の組織を採取して顕微鏡で診断する生検検査で、非乾酪性肉芽腫を確認します。
サルコイドーシスの治療
治療方針が難しい病気です。無症状の場合や症状が軽度の場合、経過観察です。それは、自然治癒する可能性があるからです。症状の出現により日常生活に支障が出ていたり、治療しないと生命の危険が予想される場合は、治療が必要になります。例えば、重症の不整脈、肺の病変が進行する場合などがあります。しかし、自然治癒の可能性もあることから、専門医の判断が重要になります。サルコイドーシスという病気は、国の難病指定され、公費対象になっています。
…日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
治療する場合、ステロイド治療が行われます。ステロイドの投与時期、量、投与方法、投与期間、中止の時期などは、肉芽腫がある臓器の種類や重症度によって異なります。ステロイド治療で難治している場合や再発する場合は、免疫抑制薬なども使用されることがあります。重症の房室ブロックという不整脈には、ペースメーカーを装着する必要があります。
サルコイドーシスの予後
原因が不明ですが、治療しなくても経過観察できている患者の72%は2~4年でよくなったり、治癒します。残りの23%は進行しません。残りの5%は、別の臓器に肉芽腫が発生したり、症状の悪化で治療を必要とします。発見時に治療を開始した65.5%は治療によってよくなったり、治癒し、残りの34.5%は治療にもかかわらず、症状が変わらないか悪化しています。
サルコイドーシスの約10%が、治療中止ができない、または進行性です。ただし、心臓や肺の病気が重篤でなければ、死亡する人は少ないと言われています。
検診などで発見されることが多い病気ですので、まずサルコイドーシスが疑われる時には、医療機関、特に呼吸器内科を受診されることをお勧めします。
この記事おけるデータの一部は難病情報センターホームページ(平成22年5月12日現在)から引用