「惰性で支出してしまう」ことからの脱却
さて、ここまでは毎月数万円は貯蓄でき、多少なりとも貯蓄がある家計での話です。急な出費のあるなしに関係なく、そもそも家計はいつもギリギリ、貯蓄もほとんどないという家計の場合はどうでしょう。当然、別枠で予算を取る余裕なんてありません。それでも、多かれ少なかれ、急な出費は発生するのです。こういうケースで取り組むべきことは2つあります。まず、そうは言っても、貯蓄できる家計を目指すために、家計自体を一から見直しましょう。その結果、たとえ、毎月1万円しか貯められないとしても、「0」よりははるかに進歩と考えてください。継続することで、予備費は少しずつでも増え、貯める習慣付けにもなりますから、一石二鳥です。
もうひとつは、急な出費の必要性を再度考えてみることです。家族が入院すれば、その費用は何はさておき優先すべきもの。冠婚葬祭費も必要でしょう。しかし、すべての付き合いや慣例に応じたため、貯蓄が底をつくというのはおかしな話です。友人・知人、勤務先、近所、学校での、さまざまな集まりやイベントはすべて必要かどうか。もし、それが家計負担になるような出費をともなうなら、参加しないという判断もあっていいはずです。
すべてを「お金がないから」と切り捨てるのは、確かに寂しいものがあります。とくに子供に肩身の狭い思いをさせるのは、親としても辛いところ。そこはバランスを見ながら、上手に調整してみてください。誕生日やクリスマスなどの家族の祝い事は、支出を抑える工夫ができるはずです。また、急な出費が必要と判断したら、他の支出をカットするくらいの割り切りも必要。避けるべきは「数千円だから」「年に1、2回だから」と、惰性で支出してしまうこと。そういう点を見過ごさないことは、家計防衛の大切なポイントなのです。