初めて接する人にとって、ラグビーは敷居の高いスポーツかもしれません。専門用語が多く、ルールも複雑なため、「何がどうなっているのかわからない!」と難しく感じる方は多いでしょう。でも大丈夫。ルールをすべて理解できなくても、いくつかのポイントを抑えておけば、ぐっとゲームがわかりやすくなります。今回はラグビー観戦がより楽しくなるよう、試合中によく出てくる用語やプレーについて解説します。

試合の流れを左右する重要なプレー
「キックオフ」

ラグビーのゲームで最初に行われるプレーは、「キックオフ」です。トスによって先蹴りを選択したチームが、相手側の陣地へボールを蹴り込むことで、試合が開始されます。

サッカーのキックオフでは先蹴りのチームがほぼ確実にボールをキープしますが、ラグビーでは蹴ったボールをお互いが奪い合います。「両チームが常にイーブンの状態でコンテストする」というラグビーの原点が、最初のプレーから表れているのです。

先蹴りのチームが相手側へボールを蹴り込むわけですから、基本的には蹴り込まれるチームのほうがキャッチはしやすくなります。一方で、先蹴り側もキッカーの後方から追いかける味方が、ボールをキャッチしにいくことができます。キックの長さや高さ、落とす位置、追いかける味方のスピードや強さなどの要素によって駆け引きがあり、それがキックオフの見どころと言えます。

キックオフは単なるワンプレーにとどまらず、試合の流れを左右することもある重要なプレーです。特にラグビーは身体接触を含むボールゲームですから、ひとつのスキル、コンタクト、メンタルなど、人間の心技体のあらゆる要素が問われ、物事の始まりをどちらが制するかで、ゲームの様相は大きく変わってきます。

ちなみに2007年のラグビーワールドカップフランス大会では、キックオフを確保した側のトライ数が圧倒的に多いという統計が出ました。最初のボールをしっかり取れるかどうかは、それほど重要なことなのです。

8人が力を結集させて押し合う
「スクラム」

scrum

スクラムのカギはいかに全員が力を合わせられるか

ラグビーにおける反則は大きく分けて2つあります。ひとつは小さな反則、いわばヒューマンエラーで、ボールを前に落としたり、前に投げたりすることがこれに当たります。この小さな反則によって得られるのが、「スクラム」です。

スクラムはフォワード(FW)と呼ばれる8人の選手が塊となり、相手と組んで押し合います。反則をしたチームの相手側がボールの投入権を保持し、スクラムの中にボールを入れることでプレーが再開されるのですが、ここでもコンテストがあり、ボールは必ずスクラムの真ん中、味方と相手がイーブンの状態で取り合うことのできる位置に投入しなければなりません。その投入されたボールを、「フッキング」といって最前列の選手が足で後方にかき入れることで確保します。

スクラムを組む際にはそこに敵味方8人ずつが集まるわけですから、散らばっている状態に比べて、グラウンドにより大きなスペースが生まれます。つまりスクラムで安定した球出しができれば、有利な状況で攻撃することができます。そのため多くのチームが、スクラムの強化に力を注ぎます。

8人で組んで押し合うわけですから、当然重いほうが優位なのは確かです。ただし、ただ重ければ強いかといえば、そうとも限りません。最大のポイントは、いかに味方同士で力を合わせ、8人全員で押し込めるか、ということです。

スクラムはラグビーを象徴するプレーで、一般社会でも「スクラムを組む」という表現が使われますが、そのカギは、チームワークを足し算ではなく、かけ算にできるかという点にあります。1人ひとりが個々で押し合うのではなく、全員で力を結集させたほうが勝つ。それがスクラムなのです。