ラグビー/ラグビーのルール・楽しみ方

ラグビー用語解説……ラグビー観戦が楽しくなる!

ラグビー用語は「モール」「スクラム」「トライ」など専門用語が多く、ルールも複雑なため、初めて観戦する方にとっては「何がなんだかわからない!」と感じられるかもしれません。今回は、試合中によく出てくるラグビー用語やプレーについて解説します。

中竹 竜二

執筆者:中竹 竜二

ラグビーガイド

試合中によく出てくるラグビー用語解説!

ラグビー用語解説

ラグビー用語を知れば観戦がもっと楽しくなる!

初めて接する人にとって、ラグビーは敷居の高いスポーツかもしれません。専門用語が多く、ルールも複雑なため、「何がどうなっているのかわからない!」と難しく感じる方は多いでしょう。でも大丈夫。ルールをすべて理解できなくても、いくつかのポイントを抑えておけば、ぐっとゲームがわかりやすくなります。今回はラグビー観戦がより楽しくなるよう、試合中によく出てくる用語やプレーについて解説します。
 
<目次>
<ラグビー用語>
 

ラグビー用語1. 試合の流れを左右する重要なプレー「キックオフ」

ラグビーのゲームで最初に行われるプレーは、「キックオフ」です。トスによって先蹴りを選択したチームが、相手側の陣地へボールを蹴り込むことで、試合が開始されます。

サッカーのキックオフでは先蹴りのチームがほぼ確実にボールをキープしますが、ラグビーでは蹴ったボールをお互いが奪い合います。「両チームが常にイーブンの状態でコンテストする」というラグビーの原点が、最初のプレーから表れているのです。

先蹴りのチームが相手側へボールを蹴り込むわけですから、基本的には蹴り込まれるチームのほうがキャッチはしやすくなります。一方で、先蹴り側もキッカーの後方から追いかける味方が、ボールをキャッチしにいくことができます。キックの長さや高さ、落とす位置、追いかける味方のスピードや強さなどの要素によって駆け引きがあり、それがキックオフの見どころと言えます。

キックオフは単なるワンプレーにとどまらず、試合の流れを左右することもある重要なプレーです。特にラグビーは身体接触を含むボールゲームですから、ひとつのスキル、コンタクト、メンタルなど、人間の心技体のあらゆる要素が問われ、物事の始まりをどちらが制するかで、ゲームの様相は大きく変わってきます。

ちなみに2007年のラグビーワールドカップフランス大会では、キックオフを確保した側のトライ数が圧倒的に多いという統計が出ました。最初のボールをしっかり取れるかどうかは、それほど重要なことなのです。
 

ラグビー用語2. 8人が力を結集させて押し合う「スクラム」

スクラムのカギはいかに全員が力を合わせられるか

スクラムのカギはいかに全員が力を合わせられるか

ラグビーにおける反則は大きく分けて2つあります。ひとつは小さな反則、いわばヒューマンエラーで、ボールを前に落としたり、前に投げたりすることがこれに当たります。この小さな反則によって得られるのが、「スクラム」です。

スクラムはフォワード(FW)と呼ばれる8人の選手が塊となり、相手と組んで押し合います。反則をしたチームの相手側がボールの投入権を保持し、スクラムの中にボールを入れることでプレーが再開されるのですが、ここでもコンテストがあり、ボールは必ずスクラムの真ん中、味方と相手がイーブンの状態で取り合うことのできる位置に投入しなければなりません。その投入されたボールを、「フッキング」といって最前列の選手が足で後方にかき入れることで確保します。

スクラムを組む際にはそこに敵味方8人ずつが集まるわけですから、散らばっている状態に比べて、グラウンドにより大きなスペースが生まれます。つまりスクラムで安定した球出しができれば、有利な状況で攻撃することができます。そのため多くのチームが、スクラムの強化に力を注ぎます。

8人で組んで押し合うわけですから、当然重いほうが優位なのは確かです。ただし、ただ重ければ強いかといえば、そうとも限りません。最大のポイントは、いかに味方同士で力を合わせ、8人全員で押し込めるか、ということです。

スクラムはラグビーを象徴するプレーで、一般社会でも「スクラムを組む」という表現が使われますが、そのカギは、チームワークを足し算ではなく、かけ算にできるかという点にあります。1人ひとりが個々で押し合うのではなく、全員で力を結集させたほうが勝つ。それがスクラムなのです。
 

ラグビー用語3. 高さとスロー技術を駆使した「ラインアウト」

スクラムのように、一旦途切れたプレーを再開する際に行われるプレーを、ラグビーでは「セットプレー」と呼びます。スクラムと並んで試合で頻繁に起こるもうひとつのセットプレーが、「ラインアウト」です。

ラインアウトは陣地を取るためにボールを蹴り出したり、エラーによってボールがグラウンド両サイドのタッチラインの外に出た時、ゲームを再開する際のプレーです。ボールが出た場所を起点にしてゴールラインと平行に両チームの選手が並び、その間にまっすぐボールを投入して、両者が奪い合います。

投入権を持つのは、原則的にボールを蹴り出した側と反対側のチームです(ペナルティキックから直接タッチに蹴り出した場合は、蹴った側のチームが投入権を持ちます)。投入する側は、投げる位置やタイミングを自分たちで決められるので有利ですが、ここにもコンテストがあり、うまく相手の投入を読んでボールを奪えば、大きなプレーになります。

空中にあるボールを争奪するので、ラインアウトでは当然背の高い選手が有利です。一方で、タイミングやスローイングの精度によっても、獲得率は大きく左右されます。並ぶ人数を変えたり、投げる位置やボールの種類(早いボール、山なりのボールなど)を変えたりするなど、ここでも様々な駆け引きが起こります。

ラインアウトは多くの場合、FWの選手が大勢参加するので、スクラムと同様にグラウンドに大きなスペースが生まれます。そのぶん、ボールを確保できれば攻撃のチャンスが広がります。
 

ラグビー用語4. ラグビーを象徴する激しい身体衝突「タックル」

激しいタックルはラグビーの醍醐味

激しいタックルはラグビーの醍醐味

ラグビーでは、相手の攻撃を止めるために自分の体を使って阻止します。その代表的なプレーが「タックル」です。

タックルは基本的に、相手の胸から下の部分に自分の肩などを当てて、相手を倒します。大きく、パワーのある選手が有利ですが、タックルに入るスピードやタイミング、入る位置によって、体が小さくても大きい相手を倒すことができます。

なぜタックルをするかと言えば、ラグビーには「地面に倒れた選手はボールを離さなければならない」というルールがあります。ですからタックルで相手を倒すことができれば、守備側もボールを奪うチャンスが生まれます。

激しい身体接触が起こるタックルは、まさにラグビーを象徴するプレーです。相手を仰向けに倒すような勇敢なビッグタックルには、トライをした時と同じように、大きな歓声や賞賛の拍手が起こります。
 

ラグビー用語5. コンタクト後のボール争奪戦「ラック」「モール」

地面にあるボールの上で組み合うのがラック

地面にあるボールの上で組み合うのがラック

タックルが起こり、ボール保持者が地面に倒されると、プレーヤーはボールを離さなければなりません。その際、地面にあるボールを奪い合うプレーが、「ラック」です。

簡単に言えば、ラックとは地面にあるボールの上で、両チームの選手が組み合って押し合うプレーです。ただし、地面にあるボールを手で扱うことはできません。押し込んだり、足でかき出したりすることで、ボールを確保します。

一方、ボール保持者が相手とコンタクトした後、立った状態で3人以上(攻撃側2人以上、防御側1人以上)が塊になって押し合うプレーを、「モール」と言います。
ボールを手にしたまま敵味方が塊となって押し合うのがモール

ボールを手にしたまま敵味方が塊となって押し合うのがモール

ボールが地面にあり、手で触ることができないラックと違って、モールは攻撃側が立ってボールを保持するため、押し込んで前進することができます。このプレーは「ドライビングモール」と呼ばれ、特にゴール前のラインアウトからのドライビングモールは、多くのチームにとって重要な得点源となっています。
 

ラグビー用語6. ラグビー最大の得点手段「トライ」「ゴール」

ラグビーには、いくつかの得点方法があります。その中でもっとも大きい得点となるのが、「トライ」です。

トライとは、相手陣の最後方にあるインゴールと呼ばれるエリアにボールを着けるプレーで、トライを取ったチームは5点を獲得します。ラグビーはトライを取り合うスポーツであり、華麗なステップで相手をかわしたり、強烈なコンタクトで相手を吹っ飛ばしたりしてインゴールに飛び込むプレーが、一番の見どころと言えます。

なおトライを挙げたチームは、トライした地点からタッチラインと平行な架空の線上の好きな位置から、ゴールキックを狙うことができます。これが「ゴール」(コンバージョンキック)で、ラグビー特有のH字型のポールの間とバーの上のエリアをボールが通過すれば、さらに2点が加わります。

インゴールの真ん中にトライをすれば、その後のコンバージョンキックも決めやすくなります。一方、タッチラインに近い両端の位置にトライをすると、距離が伸びて角度もつくため、キックは難しくなります。そのため、トライをする際はどのチームもできるだけ真ん中に近いエリアにしようと試みます。

ちなみに、なぜ「トライ」という名前になったのかというと、創成期のラグビーではトライをした後、ゴールキックを成功させることで初めてスコアになっていました。「ゴールキックを狙える権利を得るプレー」ということから、トライの名がつけられたのです。

その後、ゴールキックよりもトライそのもののほうがおもしろく、また競技性においても価値があるということから、トライ自体が得点となりました。そしてその割合も時代とともに増え、現在の5点となったのです。
 

ラグビー用語7. キッカーの一番の見せ場「PG」「DG」

トライ、ゴール以外の得点方法としては、ペナルティ(重い反則)があった場合に、反則をしたチームの相手側がゴールキックを狙う「ペナルティゴール」(PG)があります。PGは反則が起こった地点からタッチラインと平行な架空の線上の好きな位置から蹴ることができ、成功すれば3点が入ります。

また通常のプレー中に、ボール保持者がボールを地面にワンバウンドさせてキックし、ゴールを成功させると、3点が入ります。これがドロップゴール(DG)です。DGはフィールドのどこからでも蹴ることができますが、相手もそれを阻止しようとしてくるので、プレッシャーを受けながらのキックとなります。そのためPGに比べ難しく、滅多に見ることができない珍しいプレーです。

実力が拮抗したタイトな試合になると、どちらもなかなかトライが取れず、いかにPGやDGでスコアを重ねられるかが、勝敗を分ける重要なポイントとなります。PGやDGは貴重な得点源であり、50メートル近いロングキックや、角度のある難しい位置からのゴールキックはキッカーにとって一番の見せ場と言えます。

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