せっかく投資を始めたのだから成功体験を持ってほしい
「投資はコレクションではないので、買っただけで満足してはいけません。現金→投資商品→現金と動かして投資という行動が完結。NISAで投資家デビューする方たちには、できればこれを早い時期に経験し、投資の成功体験を持って欲しいと思います」(深野さん)確かに、投資は買うよりも売ることの方が難しいといわれます。いくら事前に情報を収集しても、実際に売買をしてみて初めて知ること、気づくことがたくさんあります。
「ですからNISAの期間にとらわれず、ある程度上昇したら売却して利益を確定しましょう。そこで儲かることがわかれば、NISAが終了しても投資を続けていこうと思うようになるはずです」(深野さん)
戦略1 売買しやすく値動きがわかりやすいもの→ETF
「投資行動を実感するためにも、まずは株式やETFといった個別に売買できる商品がおすすめです。中でもETFはほとんどの銘柄が数万円単位で売買できますし、指数に連動しているので値動きがわかりやすい、株式投資信託よりも運用管理費用(信託報酬)が安い、株式と同じように機動的に売買できるなどといったメリットがあります。1単元の金額が安いので、複数単元買う、時期を分散して買うということもできますし、複数単元を買えば売却も一部ずつ行えるので利益確定がしやすくなります」(深野さん)◆おすすめ銘柄&深野さんのコメント
★日経225連動型上場投資信託(証券コード:1321) 運用会社/野村アセットマネジメント「日経平均株価に連動した収益が期待できるETFの中で、常に売買が活発に行われている銘柄。市場全体が調整している時が狙い目」
★TOPIX連動型上場投資信託(証券コード:1306) 運用会社/野村アセットマネジメント」
「TOPIX(東証株価指数)に連動した収益が期待できるETF。日本の景気が拡張していくと期待するなら東証1部全銘柄をカバーするこのETFを選びたい」
★NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(証券コード:1343) 運用会社/野村アセットマネジメント
「東証REIT指数に連動した収益が期待できるETF。地価の上昇が鮮明になり、またオフィスビルの賃料も上昇傾向にあることから定期的に配当を受取りながら、売却益を期待しよう」
戦略2.値動きが大きいものを積み立てる→新興国ファンド
「投資で成功する秘訣は、いかに安く買うかということです。世界一の投資家、ウォーレン・バフェットだって高くなったら買わないじゃないですか。ということは、いま低迷しているマーケットはどこか、それは新興国です。現在は軟調に推移していますが、中長期の長いスパンで見れば必ず戻ってくるはずです。ただ新興国はマーケットが小さいので複数国をまとめたファンド、値動きが大きいのでドルコスト平均法を活かして積み立てるのがいいでしょう。積立は乱高下した方がリターンは大きくなります。大切なのは、リーマン・ショックのようなことが起こっても積立を止めないことです」(深野さん)◆おすすめ銘柄&深野さんコメント
★マニュライフ・アジア・オセアニア小型成長株ファンド 運用会社/マニュライフ・インベストメンツ・ジャパン
「アナリストなどが気づかないような小型成長株を主な投資対象とし、売買回転率を高めて収益を積み上げていく運用スタイルの投資信託」
★JPMエマージング株式ファンド 運用会社/JPモルガン・アセット・マネジメント
「資産残高が少ないのは玉にキズだが、新興国全般をカバーするアクティブ運用の投資信託の中では堅実な運用成績を続けているファンド」
★アジア製造業ファンド 運用会社/ベアリング投信投資顧問
「短期から中期の運用成績は参考ベンチマークをやや下回るが、設定来ではベンチマークを5倍も凌駕している好成績ファンド。基準価額の変動が大きいことに注意しよう」
次のページでは資金に余裕がない30代以降の家計にNISA投資をアドバイスします
取材・文/鈴木弥生 パネルデザイン/引間良基