全米で急上昇中の上原人気
上原投手は、八回に登板した田沢投手との“サムライリレー”で、今季初登板を無失点で切り抜けた。
4点リードで迎えた九回、セーブのつかない場面での4番手として今季初マウンドに上がった上原は、昨季ア・リーグの本塁打と打点の二冠に輝いたデービスは失策で出塁を許したが、後続はストレート中心の組み立てて抑え込み、八回に1回1安打無失点だった田沢純一投手との“サムライリレー”を無失点で切り抜けた。
「点差があれば楽しめる。真っすぐだけで、本塁打を打たれてもと思って投げました。みんな投げたいと思っている。(シーズン初登板は)どうしても緊張する部分があるんで、(無失点で)良かったです」
ホッとした表情に余裕さえ漂わせる。メジャーで初めて開幕を守護神という立場で迎えた上原は前日、ナインとともにホワイトハウスにオバマ大統領を表敬訪問した。昨季のワールドチャンピオンの恒例行事だが、その中で嬉しいことがあった。オバマ大統領から「コウジは、代名詞といえるスプリット(・フィンガード・ファーストボール)を武器に歴史に残る最高のポストシーズンを過ごした。勝利後はいつもほかの選手に飛びつき、幸せそうだった」と名前を挙げられ、称賛されたのだ。
「本物だ、という感じ。日本人の名前が(大統領に)呼ばれることなんてめったにないので、うれしい」と大興奮し、この日の好投につなげた。
実は上原人気が全米で急上昇している。3日(同4日)、米大リーグがオフシーズンでのユニホーム売り上げランキングを20位まで発表し、上原が日本選手最高の18位に入った。他の日本選手はレンジャーズのダルビッシュが19位。ちなみに1位はレ軍のオルティス、2位もレ軍のペドロイヤ、3位は今季限りでの引退を表明しているヤンキースのジーター、4位はカージナルスの捕手モリーナ、5位はドジャースのエース・カーショーが入った。上原が日本選手最高の18位に入ったのは、昨季のワールドシリーズを含むポストシーズンでの活躍が大きいが、オバマ大統領も認めたスプリットの凄さへの評価も反映している。
とはいえ、上原は、昨季のワールドシリーズ制覇は「終わったこと」と気持ちを完全に切り替えて今季に臨んでいる。3日(同4日)に39歳の誕生日を迎えた守護神は、世界一連覇、そして、オバマ大統領との再会を視野に入れ、マウンドに上がる。