国債・債券/個人向け社債の最新情報

条件の良いソフトバンク債に注目を

長期金利を始めとする市場金利がほとんど動かないことから、定期預金金利、個人向け国債を始めとする債券の金利もほぼ動きがありません。2013年度は過去最高の発行額となって個人向け社債も2014年度は動きがない状態です。そんな中、約1年ぶりにソフトバンクが個人向け社債の発行を予定しています。個人向け国債などを含め、債券を取り巻く環境を見てみることにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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個人向け国債等に動きはなし

2014年5月募集の個人向け国債の発行条件が5月9日に公表されました。気になる利率は、3年固定=0.08%、5年固定=0.14%、10年変動=0.40%と4月募集のものと比較して、3年固定は同じ、5年固定は0.01%、10年変動は0.02%引き下げられました。長めの市場金利が若干低下したことがその要因のようです。

新窓販国債も5年物こそ発行条件が決まっていませんが、2年物=0.1%、10年物=0.6%と4月と利率は変わっていません。変わっていないどころか、2014年に入ってから全く利率は変わっていない状況なのです。この分だと、2014年5月募集の5年物の利率は4月同様、0.2%で変わることはないと思われます。

新窓販国債は当初から毎月募集されていましたが、個人向け国債は5年固定、10年固定が2014年1月から毎月募集(発行)に変わりました。財務省は個人投資家に購入の機会を増すために毎月募集に変えたと述べていますが、肝心の利率が低位に甘んじていては投資機会が増えても、個人投資家が積極的に購入に動くことはないでしょう。

事実、個人向け国債の募集額は、2013年3月が3年固定=469億円(365億円)、5年固定=523億円(368億円)、10年変動=2657億円(1662億円)しかありません。( )内の数値は同年2月募集ですが、2月よりはましだったに過ぎません。4月募集額はまだ公表されていません。

個人向け社債は1兆円を超える発行額

個人向け国債、新窓販国債の利率が芳しくないのであれば、少しリスクを取って個人向け社債にも目を向けるべきでしょう。2013年度、個人向け社債は1兆円超の新規発行があり、2013年度に発行残高は約4兆6000億円と過去最高水準となっています。

大型発行では、ソフトバンクが5年債、利率1.74%、発行額4000億円。ソニーも5年債、利率0.86%、発行額1500億円などがありました。

2014年(2013年度ですが)に入ってからは、小田急電鉄やクレディセゾン、伊藤忠商事、中国電力などが発行しています。ただ、いずれも大型の起債ではありません。そんな中、ソフトバンクが2013年度に続いて大型の起債を公表しました。同社は、定期的に個人向け社債の発行を予定している一環です。

この記事を書いている時には、最終的な発行条件は決定されていませんが、今回も償還期限は5年、利率は仮条件で1.15%~1.75%、発行額は3000億円となっています。社債の額面金額は100万円で、取扱い証券会社は、野村証券(主幹事証券)、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券、SBI証券、東海東京証券、岩井コスモ証券、岡三証券です。

既に予約販売を行っている証券会社もあるうえ、個人向け社債は証券会社(正確には各支店)ごとに取扱い額があるといわれています。さらに、購入は早いもの勝ちのようなので売り切れになっているケースもありえると思います。

個人向け社債は、フットワークの軽さがカギになるので常に発行情報のアンテナを張っておくようにしましょう。なお、2013年7月に発行額300億円で起債した東芝が、年1回のペースで発行を予定しているようです。

個人向け国債、新窓販国債の利率は当面期待できないことから、条件の良い個人向け社債の人気(=争奪戦)は続くと思われてなりません。
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