ジーターの引退表明後、チケットの売り上げが急増
今シーズン限りでの現役引退を表明したことで、全試合が「フェアウェル・ツアー(お別れ興行」となったジーター。
引退を表明したことで、このようなツアーは、1983年のジョニー・ベンチ(レッズ)とカール・ヤストレムスキー(レッドソックス)が最初といわれ、1987年にはレジー・ジャクソン(アスレチックス)、2001年にはカル・リプケン・ジュニア(オリオールズ)が、近年では2012年のチッパー・ジョーンズ(ブレーブス)、そして昨年にマリアノ・リベラ(ヤンキース)が行い、多くのファンが球場に足を運び、一世を風靡したスターたちと別れを告げた。
このツアーは誰でもできることではない。まず大変なのは、シーズン前に引退を決断して発表しなければならないことだ。そのシーズンの成績次第ではまだ現役を続けたいと思っている選手ではなく、来季は絶対にプレーしないという潔い決断をした選手に限られる。もちろん、その選手がツアーに見合うだけの人気と実力を備えていることは当然。そして、選手自身がそのツアーを望まなければ実現しない。2013年のシーズン限りで引退したアンディ・ペティット(ヤンキース)は、シーズン前に引退を決めていたが、表明はせず、ひっそりとユニホームを脱いだ(実はこういう選手が多い)。
私が経験したツアーで凄かったのは、2001年のリプケンだった。フロリダ州で行われたオリオールズのオープン戦はどの球場も満員で、試合後に自主的に設けたサイン会には長蛇の列ができ、リプケンは辺りが暗くなってもペンを走らせていた。シーズンに入っての本拠地公式戦は、リプケンの最後の雄姿を目に焼き付けておこうと毎試合、満員御礼。遠征先でも観客動員は大幅にアップした。
ヤンキースは昨季、観客動員が約354万人から約327万人に減少した。ジーターを含めたケガ人が相次ぎ、3位に終わったことが最大の要因といわれている。それが、ジーターの引退表明後のチケットの売り上げが急増。他球団(他球場)でもヤンキース戦のチケットが飛ぶように売れ始め、“プラチナ・チケット”となるのは間違いない状態に。
ただでさえも全米でNO・1の人気を誇るヤンキース。それがジーターの「お別れ興行」によってさらなる人気や観客動員に拍車がかかる今シーズン。そんな中で投げて、結果を残さなければならない“新人”田中のプレッシャーは、半端ではない。