ブームによる牛肉を主役としたレストランの拡充の年

ここ数年の肉ブームの影響は、新たにオープンするお店のジャンルにも大きな変化をもたらしたように思います。これまで、肉を気軽に食べたいと思えば焼肉を選択することが主流でしたが、最近は肉料理、ビステッカをメインに打ち出したレストランの出店が続き、料理のレベル感はピンキリながらも、選択肢の幅がかなり広がったように感じます。特に赤身ブームの流れをうまく取り入れ、赤身主体の牛肉、例えば経産牛やあか牛、短角牛、レストランにおいては昨年の輸入解禁にともないフランスの肉を扱うお店もあったりと、この赤身肉志向は一時のブームで過ぎ去るものではなく、肉といえば黒毛和牛だった日本において新たなポジションの確立がなされたようにも思います。

土佐あか牛の骨付きビステッカ

土佐あか牛の骨付きビステッカ

 

あか牛のイメージを覆すビステッカ「ヴァッカロッサ」

そんな時代の流れを汲んだお店の中でも特にお気に入りのお店が、渡邊雅之氏がシェフをつとめる赤坂の「ヴァッカロッサ」です。同店の強みはシェフの腕はもちろんですが、何と言っても肉を焼き上げるために特別に設置した“開放暖炉”と“薪”。この開放暖炉、前例がないため許可が下りるのにも数ヶ月かかったとか。

レンガの種類も壁面によって使い分け、暖炉内の空調もしっかり管理、使用する薪も肉によって使い分けます。なんでも肉の密度が高いものは薪の密度が低いものを、肉の密度が低いものには薪はその反対をあわせるそうです。肉の密度とは肉繊維の事を表すので、脂の刺しが多い肉は密度が低い肉となります。そんなお話を渡邊シェフから伺っていると、新しい肉の世界をこれから沢山見せてもらえそうな気がしてわくわくしてくるのです。

あか牛の骨を食べられる状態に砕いて提供して下さいます。

あか牛の骨を食べられる状態に砕いて提供して下さいます。



同店で先ず食べて欲しいのは“赤牛のビステッカ”。骨付きの肉を薪で焼き上げたビステッカは、淡白になりがちなあか牛とは思えないくらい風味、旨み豊かに感じます。今まで様々なあか牛を食べてきましたが、正直納得のいくものに出逢わなかったあか牛。ところが、同店のビステッカは薪焼きの効果がここまであるものかと嬉しくなるほどの出来でした。骨の周りの肉をしゃぶると、塩気と薪の風味で一層堪能できるので、是非お腹の余裕を最後まであけておいて下さい。

そして、これも是非お試しいただきたいのが“雛鳥の蒸し焼き”です。一時間かけて薪火で蒸しあげる雛鳥はハーブの味わいとともに、シンプルだけどじわじわと美味しさが伝わる一品。部位によっても味わいが異なるので、できれば4人で1羽をシェアしたいところ。ある日に頂いた高知県産地鶏の薪焼きも美味しかったので、その日の仕入れに合わせて選んでも充分楽しめると思います。

高知県産ほうれん草の冷前菜

高知県産ほうれん草の冷前菜


モッツァレラとアンチョビソースのオーブン焼き

モッツァレラとアンチョビソースのオーブン焼き
 

自家製手打ちのピンチ・PINCI

自家製手打ちのピンチ・PINCI


また肉料理以外の面からみても渡邊シェフのお料理はとても魅力的。とてもシンプルだけどほんのいくつかのスパイスや他の食材を組み合わせてとても効果的にお料理を作り上げる方。高知県産のほうれん草に生姜と柚子を使った冷前菜や、モッツァレラにアンチョビソースをかけてオーブンで焼き上げたものなどシンプルなのに食べててわくわくするような美味しいお料理を供してくれます。薪焼きのお店はかなり希少で時代の先取りにも感じるお店ですが、流行と関係なくフィレンツェの名店のようにずっとあって欲しいお店です。


■ヴァッカロッサ
・住所:東京都港区赤坂6-4-11 ドミエメロード1階
・TEL:03-6435-5670
・営業時間:
火~土 11:30~13:00 18:00~22:00(L.O.21:00)
月 18:00~22:00(L.O.21:00)
ランチ営業
・定休日:日、祝、月曜日ランチ
・地図:Yahoo!地図情報
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