企業年金・401k/401k企業型の運用のポイント

確定拠出年金で利益が出たら「ちょっと売る」が正解!

401kでちょっとうまく増えているとき、悩ましいのは「これは売るべき?」という問題です。売らなければ利益確定できないような気もしますし、かといって売っても現金としてもらうことはできません。そこで活用したいのは「ちょっと売る」という運用テクニックです。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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儲かった!しかし現金化はできない401k

401kで含み益が出ていたら、次に何をすべき?

401kで含み益が出ていたら、次に何をすべき?

確定拠出年金(日本版401k)では、自分の退職金を自分で運用していなかければなりません。自己責任型の企業年金制度といわれるゆえんですが、その代わり「世代間の支え合い」とか「運用が下手な会社(あるいは同僚)のツケ」を負わされることもありません。自分の分だけ運用管理すればよく、その点では、「自分の分だけ責任を持てばいい」という気楽さもあります。

昨今ではアベノミクス相場の影響などもあって、元本割れしている人が急減しています。およそ95%は運用はプラスになっているといわれています

ところで、運用がうまくいっているとき、「何もしなくていいの?」と思う人もいるでしょう。 儲かった投資信託について売却するなど利益確定をしなければいけないのではないかと考えたりしますが、どうやればいいのでしょうか。

儲かったら全部売って定期預金にするのは「小正解」

まず最初に考えるのは「とりあえず売って利益確定」というパターンでしょう。とりあえず儲かっている状態にあって、このまま値下がりでもしたらせっかく増えた401kの財産も減少してしまいます。そこで、値段が下がる前に売ってしまうことを利益確定といいます。普通に株などで投資をしている人も考える投資の基本的な考え方です。

しかし、401kにおいては同じやり方をしてもうまくいかないことがいくつかあります。まず「利益確定しても現金で受け取れる訳ではない」という点です。個人の投資であれば儲かった分を利益確定したとき、別の運用を続けてもいいですし、銀行預金口座に振り替えて何か買い物をすることも自由です。しかし401kの場合、60歳まで基本的に受け取れない仕組みとなっています。つまり、「運用を続ける」ことを前提にするしかないのです。

そして運用を続けることを考えたとき、利益確定は必ずしもいいことばかりではありません。利益確定をして投資信託を預金に変えたあと、さらに株価が上昇していったとしたら、「利益確定しなければよかった」ということになります。利益確定したらそれ以上値上がりはしないからです。

仮にその後の価格が上昇するとしたら、「売ったときと同じ価格」もしくは「売ったときより安い価格」でもう一度投資をし直さなければいけません。これは判断がなかなか難しいことです。利益確定したあとの運用も考えなければならないのです。

「一部売る」「残りは運用継続」を考えてみる

そこで考えてみたい方法は「一部売る」という方法です。投資と言えば「全額買い!」「全額売り!」の繰り返しをするものだと誰もが思っていますが、考えてみればそんなルールはどこにもありません。

「50万円を投資したら60万円に成長したので、60万円分すべて売り払って何か別のものを買う」ばかりが投資ではなく、「50万円を投資したら60万円に成長したので、10万円分売る(残りの50万円は運用を継続)」という利益確定だってかまわないわけです。

一部分の利益確定にはいくつかいいところがあります。その後どんどん値上がりしても全部を売るわけではありませんので、さらに値上がりしたときにも資産運用を続けていることになり、資産はしっかり増えていきます。

一部分の利益確定後、値下がりしてしまった場合も、保有しっぱなしの資産は値下がりしてしまいますが、利益確定した部分についてはそれ以上の値下がりをせずにすみます。

まずは、「儲かった分について利益確定」を考えてみるといいでしょう。

運用の計画とリバランスの考え方を知ろう

一部分の利益確定は、国の年金運用(120兆円)や企業年金運用(1企業あたり数十億~数千億円)でも用いられている投資のテクニックのひとつで、リバランスといいます。

もう少し厳密にいうと「儲かった分について利益確定」ではなく、「本来の運用計画とずれた分を利益確定」するのがリバランスです。

例えば「投資信託でリスクを取って運用するのは、財産の半分くらいにしておきたい」と最初に検討します。そこで、100万円ある財産の50万円を投資しします。そのあと、株価が上昇して120万円の資産に増えたとします。投資信託70万円(20万円アップ)と定期預金50万円です。

「儲かった分利益確定」の発想だと、20万円を売るということになりますが、最初にリスク資産は半分、と考えていたのであれば、20万円の売却だと「投資信託50万円、定期預金70万円」となり、リスク資産の割合が5割を切ってしまいます。

そこで、「投資の割合は5割」に戻す発想で投資信託を10万円分売り、定期預金に戻せば、「投資信託60万円、定期預金60万円」になります

「儲かった分利益確定」だと、売りすぎてしまう恐れがありますが、これにより「割合」を変えずに投資を続けることができるわけです。

リバランスにおいては、「そもそも投資をしようと決めていた部分は何割か」を最初に決めておかなければ、利益確定する金額も決定できません。つまり、運用が始まる段階からしっかり考えておくことが必要です。

しかし、一度運用の計画段階からしっかり考えておくことで、運用の上手な利益確定をシンプルに行うことができます

「もっと株価が上がるかも」とか「まだ株価は下がるかも」といった予想で売買するのは実はとても難しいことです。無理なく投資を続け、無理なく利益確定もする方法として「部分的に売る」を覚えておくといいでしょう。できれば、運用計画にもとづくリバランスができるようにしたいところです。

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