防災/災害の種類と対策

3年目を迎える東日本大震災、被災地の今(2ページ目)

あの日から3年、被災地以外では、すでに震災は「他人事」になってしまっているように思えます。被災した海岸沿いを、あの後、何度も訪れてきました。大量のがれきこそ姿を消しましたが、そこは誰もいない空間が延々とひろがっているだけで、今もまだ「復興」にはほど遠いのが現状です。「南海トラフ巨大地震」の危機が叫ばれる中、もう一度あの災害がどのようなものだったのか考えてみましょう。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

備えるべきは「津波対策」、だが

日本列島47都道府県、全ての過去の歴史における災害状況を、今一度調べてみると、海に面していない一部の内陸県を除き、全ての地域で周辺の地震発生時に津波被害(一部は高潮)に遭う可能性があります。特に発生が間近とされている南海トラフ巨大地震が起きれば、国の想定では最大32万人もの死者が発生するとも言われています。その被害のほとんどは沿岸に到達すると考えられる巨大津波であり、三陸沿岸に比べて沿岸地域に多くの人口が集中する関東から中部、西日本沿岸地域の被害は甚大なものになり、日本経済全体を揺るがすものになることは確実です。では被害を減らす有効手段は何なのでしょうか?

すでにハード(防波堤)による津波対策は限界があることは東日本大震災で証明されてしまいました。最も有効なのは「津波到達地域」に住まないこと、なのですが「経済」と「防災」は決して相容れないのが現実です。どんな災害があったとしても、何もなかったように必ず海のそばに人々は戻ってきます。

ですから、沿岸地域でどうしても生活しなければならない人は「短時間での高所避難」「無駄と思っても率先して避難」することを忘れないことが唯一、最上の津波対策であり、もしもあなたに短時間で海岸から高所避難が出来ない理由があるならば、もうそれは「津波リスク」のある地域で生活せずに、安全な内陸部に移住するしか方法はありません。また、冒頭に述べた「内陸県」に住む人ですが、東日本大震災ほどの巨大地震が発生すれば「他人事」であるわけにはいかないのも事実です。

東日本大震災発生時に、大阪でも揺れによる被害が出たように、南海トラフ巨大地震発生時には海に面しない「内陸県」はもとより日本海側に位置する県でも大きな被害の発生が予測されています。過去の「南海トラフ」で発生した巨大地震は震源から遠く離れた内陸県にも大きな被害をもたらしています。日本列島に住むならばもう「他人事」でいられる人などいない、ということを今一度認識していただかないといけません。

さらに、大きな海溝型地震が発生すると内陸の直下型地震が誘発される、というデータもあります。必要なのは「自分の生活する地域の最大リスク」をもう一度認識することと、その場所では最悪の場合に何が発生するのか、を想像できる力を持つことなのです。


東日本大震災から学ぶべきこと

  1. 津波は必ず繰り返し同じ場所にやってくる
  2. 海岸近くには常に「津波のリスク」が存在する
  3. 「高所避難」をいかに短時間で行うかが生死を分ける
  4. 地震被害から逃れられる場所は日本にはない
  5. 自分の住む地域の災害リスクをもう一度確かめる
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