メジャー3年目で初の栄誉
レンジャーズのロン・ワシントン監督も、ダルビッシュ投手の開幕投手について「彼が健康ならば、明らかだ」と断言している。
「制球がすごく良かった。カーブもスライダーも、チェンジアップ、ツーシーム、スプリット・フィンガード・ファストボールも投げた。良かったです、全部」
こう胸を張れるのは、不安材料を消すことができたからだ。昨シーズン終盤、神経障害で腰部に違和感を覚えた。球団からは過度の筋力トレーニングを禁止されたが、その分、ハワイなどで走り込みを行い、下半身強化に努めた。普段から姿勢を正すことを意識して、腰への負担を軽減させた。また、体重も100キロを切る(通常はこの時期100キロを超えている)ことで負担を減らすことに役立てている。
体調が万全ならば、ダルビッシュの視界は良好だ。すでにレ軍のロン・ワシントン監督は「彼が健康ならば、(開幕投手は)明らかだ」と断言。いきなりフィリーズとの交流戦となる3月31日(同4月1日)の開幕戦のマウンドに上がることは確定している。
日本人選手では過去に野茂英雄がタイガースで2000年、ドジャースで2003年、2004年の計3度、松坂大輔(当時レッドソックス)が2008年、黒田博樹(当時ドジャース)が2009年にメジャーで開幕投手を務めた。ダルビッシュが開幕投手を務めるならば、史上4人目、通算6度目の快挙となる。日本ハム時代に5度の開幕投手を経験しているが、メジャーでは3年目で初の栄誉、だ。
2012年のメジャー1年目にいきなり16勝(9敗)をマークし、2年目の昨季はチームトップの13勝(9敗)。勝ち星だけでなく、その内容も抜群で、209回2/3を投げて防御率2.83、メジャー最多の277奪三振の成績を残し、サイ・ヤング(最優秀投手)賞の投票で2位に入った。「質の高い球種が4つある。(実力は)天井知らずで、どこまでも上にいける」とレ軍のグレグ・マダックスGM補佐も高く評価。今季のチームを象徴する“開幕投手”として、押しも押されぬ存在となったのである。
「3年目だし、気持ちは楽です。開幕投手? まだ、直接言われていない。(開幕投手でも)別にアプローチを変えるわけではない。とにかくケガをしないこと。自分の状況を客観的に見てやっていきたい」
メジャーの先輩として、いや、エースとして、田中には負けられないダルビッシュがいる。