飼主さんは案外ペットのことを知らないもの

お勧めの本

お勧めの本2冊です。

獣医学は日々進歩しています。

数年前だとごく一部の専門医でしか受けられなかった治療が普通に受けられるようになってきました。病気になってから情報を集めるより、健康なうちに最新の治療法を知っておくのは大切なことです。

また、老犬・老猫を飼っておられる方は、病気についての知識を持っておかないと、勧められるままに高い手術料金を支払うことになる可能性もあります。代替となる治療法を知っていれば、いたずらにペットを苦しめることなく、治療費の負担も安くすみます。

実は犬の飼主さんは案外犬のことを知らないものです。私が数年前オーストラリアに行った折のことです。お世話になっていたお宅には、大きなジャーマン・シェパードがいました。

夕食に鶏肉が出たとき、食後にその家のご主人が鶏の骨を犬にあげようとしたのです。驚いて止め、「鶏の骨は縦に割れるので、喉に刺さる危険性があり、与えてはいけません」ということを説明しました。幸い奥さんが熱心に説明を聞いて下さり、家族を呼んで「これから鶏の骨を与えてはいけません」と全員に告げました。

外国の人は日本人より犬との付き合いが長く、しかも密接と聞いていたので、こうしたことは皆が当然のように知っていると思っていました。そうでなかったことが驚きでした。おかげで「単なる居候」から「獣医師の先生」に昇格し、ちょっと嬉しかったです。

こうしたちょっとした知識は、本を読めば手軽に手に入るものなのです。ネット上にもいろいろ情報は落ちていますが、誰が書いたかわからないものは信用できません。時折、飼主さんの情報交換サイトを覗いてみますが、とんでもないことを書いている人があり心配になります。ぜひ専門家がきちんと書いた本を読んでください。

また、冬は獣医科病院が比較的暇になる季節です。こんなときは病気でなくても獣医科病院を訪ね、いろいろと情報を集めることをおすすめします。獣医師も飼主さんとお話しができ、ペットについての情報が増えるのは有難いことなのです。

たとえばレトリバー犬は股関節の障害が出やすい犬種です。まだ年齢の若いうちに、「年をとったらどうなのか?」「手術をしないですませるために、今から何をすればよいのか?」「手術の場合、何日くらいの入院で、費用はいくらくらいなのか?」などを相談しておかれることをおすすめします。

まだまだといっても「ドッグイヤー」という言葉があるくらいです。犬は早く歳をとります。そうした時期は思ったより早くやってくるかもしれません。そこでご参考にしていただけるよう、最近出版された中で、お勧めの本2冊をご紹介します。

犬に関わる科学的理論と実践を網羅した「犬学の決定版」

犬の起源と歴史からはじまり、犬種と遺伝学、犬体各器官のしくみとはたらき、各部位に起こる疾患、日常の食事やお手入れ、繁殖・育児、病気や怪我の応急手当、リハビリテーション・介護、行動学と犬との実践的コミュニケーション、問題行動への対処、さらには犬種のスタンダードと理想の骨格構成・ムーブメントまで、犬に関わる科学的理論と実践を完全に網羅した「犬学の決定版」という内容です。

「犬学」とあるので、次は「猫学」が出版されるかもしれません。価格は本としてはやや高価ですが、240ページという量はお得感があります。イラストも多く、お子さんも読みやすいので家庭に1冊あれば家族全員が知識をつける手助けになると思います。

獣医師の方々にも読んでほしい最新知識

こちらはやや専門的な本です。繁殖を専門にしておられる方、子犬を増やそうとお考えの方に読んでいただきたい本です。専門知識が判りやすく書かれているので、最後まで楽しく読めます。数十年前は、犬の毛色などについての書籍がほとんどありませんでした。最新の知識に接する意味で、獣医師の方々にも読んでいただきたい本です。




※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。