植栽(プランティング)とは
庭づくりを学ぶにあたり、パーツわけして解説しておりますが、植栽はパーツに含んでおりません。それは、植栽はどのパーツにも必要な庭の主役であるので、パーツとは別の軸で探求するべきだと考えたからです。植栽の目的
大昔、庭づくりが始まった時代には、暴風雨等自然の脅威にも勝る巨石や巨木を神と考え、その神を身近に感じたいと神事の場所等に植栽が始まりました。自然を神格化しない現代でも、自然を身近にと考える人は多いようですが、価値観も多様化し、植栽の目的も様々になっています。
ここでは、代表的なふたつをご紹介します。
まず第一は、緑の持つ癒しの力でしょうか。どんな建築物でも、植物を植えるとやさしいイメージを付加してくれます。癒しを求めて植木を植えることが主目的だと言っていいと思います。
次はルックスでしょうか。自分の家の外観を向上させるために植栽します。インテリアやエクステリアでタイルの色にこだわるように、家に合った植物を探すことが大切です。
そして、輸入された珍しい植物に個性を求めたり、雑誌で提案された植物が流行したりとファッション的要素が加わります。
その他にも、隣家との目線を優しく隠してくれる目隠しの植栽等、植栽の目的は他にもたくさんあります。
いずれ色々な角度から解説したいと考えています。
癒しのための植栽
皆様の身近にも緑を増やしてみてください。その植物の緑の力で癒されることでしょう。しかし無計画にただ植栽するだけでは、後に様々なトラブルになったりします。デザイン的にもマイナスになることもあります。そこで、家に合った植栽を学ぶことが大切です。「自然の姿を身近に感じたい」という、太古の昔からの庭づくりの目的を目指し、より自然に近い植栽を学んでいきましょう。
ここで、ナチュラルガーデニングには不可欠な自然を模した植栽を「ナチュラルプランティング」と名づけます。このナチュラルプランティングについては、後日詳しく解説していこうと思います。
ルックス重視の植栽
最近は、庭の色々なところに多彩な植栽がされるようになりました。たとえば、玄関横や門周りに樹形が美しく堂々とした木が植えられることが多くなっています。癒しの植栽とは違い、おしゃれな洋服を着る感覚に近く、見られることを多少は意識した植栽といえるでしょう。
シンボルツリーと称され、家の顔となる植栽ですが、ある人は花が咲く木、ある人は大きな木、ある人は風にそよぐ木、ある人はブルーの葉の木、等個性をもとめて様々な木が植えられていて、一昔前のように、外国から「マッチ箱のような家が並ぶ町並み」と称された日本と比べ、ずっと個性豊かになりました。
しかし、一方では、雑誌等に掲載されると、一斉にその木をほしがる傾向にあります。あまりにも偏った需要によって市場価格が高騰することが多々あるので、樹形や性質等が本当に自分の家に合っているのか等、選ぶポイントを決めて、精査して選ぶことが重要だと感じます。
ただ、ある程度の流行があるのは、庭に対する意識が高くなった証で、私たち庭づくりを生業とするものにとっては喜ばしいことです。すべての人が、服や車のように、庭や緑にも価値を見出すことができると、町並みはもっとおしゃれになることでしょう。