2014年スタートダッシュを見せるYY
中国のネット企業、YY(多玩、ナスダック上場 証券コード:YY)については、2013年7月初めの中国IT企業の新生、YYに期待!でご紹介しました。そのYYの株価は2014年年初から好調です。同社の業績は前回レポート時点以降も好調というより、さらに勢いを増してきています。2013年7月時点での2013年度の市場コンセンサス予想利益成長率は+52.5%でした。しかしその後2013年第2、第3四半期決算を市場予想を大幅に上回る内容で着地し、2014年1月時点の2013年度の市場コンセンサス予想利益成長率は+144.3%にまで高まっています。同社の高成長ぶりを見ると、インターネットにおけるビジネスのコツを良く理解している会社ではないかと思います。同社の提供するインターネットサービスは、ゲーム、音楽配信、教育、広告と一見まとまりがなく、バラバラに見えます。しかしどれもがネットを使ったサービスに違いありません。
その点さえ押さえておけば、配信するサービスはゲームであろうが、音楽、オンライン英会話教室であろうが、何でも良い訳です。
どの部門も大きく伸びており、「ゲームに強い会社」というような、何か特定の専門分野はないのかもしれません。それよりもネットを介したビジネスに長けている会社という様子です。つまり魅力や利便性のある無償のプラットフォーム持って集客し、そこから様々な方向の有償サービスへ導いて行くという方式です。有償化において「娯楽」はどのネット企業においてもキーワードであり、同社は複数の異なる娯楽サービスを、PCインストールベース、ウェブベース、モバイルベースと多様な方面から互いにクロスさせています。
幅広いサービスを提供し多くの顧客基盤を保有する点が強み
5億人の登録ユーザーを持つ同社インターネット基盤から様々な収入が流れ込んできます。月間平均アクティブユーザー数は8720万人(2013年9月末時点)となりました。それらは複数の異なるプラットフォームによって構成されます。「YY Client」はPC上で動くソフトウェアで、会員やグループ同士が動画、音声、カラオケ、画像、ブログ等を共有してリアルタイムで会員同士がコミュニケーションを取ることのできるソーシャルネットワークです。「YY Client」における有料ユーザーは2013年9月末時点で前年比+48%増の130万人となりました。
これを、ソフトウェアをインストールするのではなく、ブラウザーよりウェブベースで使えるようにした「WEB YY」も運営しています。「YY.com」はポータルサイトであり、先ほどのソーシャルネットワークや、同社の提供する他のゲームをはじめ、様々なイベントやコンテンツに誘導する窓口となっています。「Duowan.com」はゲームに特化したサイトで、PCゲームのほか最近ではモバイルゲームのアプリを配信しています。「WeiChang」はモバイル機器からオンラインで歌えるカラオケ・アプリです。
そして「Mobile YY」は前述の「YY Client」のモバイル版であり、2012年10月より始められた比較的新しいサービスです。このアプリは月平均460万ダウンロードのペースで拡大しており、月間アクティブユーザー数は1700万人(2013年9月末)となりました。前年同期に比べて+94%増、6月末に比べて+19%増と急速に基盤は拡がっています。
無料サービスとして開始された「Mobile YY」は2013年第2四半期に初めて収益化し、現時点での売上への貢献度は低いものの、今後大きな可能性を秘めています。強力な集客力があるため、ここからゲーム、音楽(カラオケ)などのエンターテインメントのほか教育など、多様な方面へ複合的に収益化して行くことのできるモバイルプラットフォームです。どれもタブレットやスマホと相性の良いサービスと思われます。
モバイルゲームはまだようやく収益化されたばかりの分野で、他社を含め今後高成長の見込める分野です。教育サービスにおける登録ティーチャー(先生)数も3ヶ月で+29%増えて12万5千人となり、収益化へ向けてサービスを拡大できる体勢です。ゲーム、カラオケ、学習など、どれもタブレットやスマホから行え、リビングに居ながら多くの友人や特定のグループと相互コミュニケーションを取りながらそれらを楽しめます。
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