ラグビー/ラグビーのルール・楽しみ方

学生日本一を決める熱き戦い。ラグビー大学選手権(2ページ目)

大学ラグビーは日本ラグビー界で一番の人気カテゴリーです。毎年4年生が卒業し、年ごとにメンバーが変わる状況で、それぞれの学校が工夫を凝らして勝利を目指して懸命に戦う姿が、多くのファンを魅了してきました。今回は大学ラグビーの頂点を決める大会、大学選手権の歴史とその魅力について説明します。

中竹 竜二

執筆者:中竹 竜二

ラグビーガイド


学生スポーツの連覇は難しい


ラグビーに限らないことですが、日本の大学スポーツは、4学年全員が同じチームで活動する点が特徴として挙げられます。これは世界的に見ても、非常に珍しいことです。大学の4年生と1年生といえば、体力も違えば経験も違います。また毎年4年生が卒業するので、チームは毎年大きく戦力が入れ替わります。そのため学生スポーツは、同じ大学が勝ち続けるのがとても難しいカテゴリーなのです。

大学選手権の最多優勝校は、歴史的にも長くトップレベルの力を維持してきた早稲田大学で、その数は15回。ただしその早稲田大学ですら、これまで連覇はあるものの、3連覇を遂げたことはありません。

1982年から1984年にかけて同志社大学が3連覇を達成して以降、明治大学や関東学院大学、早稲田大学が何度も3連覇に挑みましたが、達成することはできませんでした。その壁を破ったのが、現在の帝京大学です。

帝京大学は2009度の第46回大会で初優勝を遂げると、その後も王座を維持し、昨年度の大会で史上初めて4連覇を果たしました。記録はいまも継続中で、5連覇を目指す今シーズンも、優勝候補の筆頭ともくされています。

学生スポーツのひとつの醍醐味は、4年生が卒業して代が替わると、まったく別のチームになる、ということです。そうした状況でも各大学が工夫を凝らし、懸命に勝利を追求する姿に、多くのファンは楽しみを見出してきました。そういう意味で、帝京大学が果たした4連覇はまさに偉業であり、大学ラグビーの新たな扉を開いたということができます。

帝京大学が勝ち続ける理由


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今回の決勝では帝京大と早稲田大が激突する (c)2013,JRFU (Photo by RJP Hiroyuki Nagaoka)

連覇することさえ難しい大学ラグビーというカテゴリーで帝京大学が勝ち続けられるのは、それなりの理由があるからです。

世界中のコーチングを研究し、日本のラグビー界にあった手法を落とし込んでいくコーチング・ディレクターという私の立場から見ると、国際的に勝っているチームに共通する重要な要素を、帝京大学は大学ラグビー界でもっとも備えているといえます。それが何かといえば、ストレングス&コンディショニング(S&C)の分野です。

現在の国際ラグビー界では、このS&Cが際立って重視されています。ラグビーは身体的接触が数多く発生する競技ですから、当然といえば当然でしょう。コンタクト局面で当たり勝つことができれば、余裕を持って次のプレーをすることができます。

にもかかわらず、日本のほとんどの大学は、この部分で大きく遅れをとっています。そうした中で帝京大学は、かなり早い段階からS&Cの重要性に着目し、時間をかけてこの分野の強化に取り組んできました。それこそが、帝京大学がいまこれほど圧倒的な強さを維持できる一番の理由であり、ここを真似るだけでも、他大学は大きく成長するでしょう。

体づくりは一夜にしてならず


体づくりは、日頃の意識と生活習慣に大きく左右されます。一夜にして体が大きく、強くなることなど絶対にありません。日々のトレーニング、栄養をきちんととるための知識と努力、休養をしっかりとるマネジメント力などがなければ、体は強く大きくはならないのです。

パスやキックなどのスキルは、いいコーチングを受けることによって劇的に改善することがあります。一方S&Cの強化は、それより圧倒的に大変で、かつ時間がかかります。そうしたことに、帝京大学は地道に取り組んできた。その結果が、現在の圧倒的な強さに表れています。

日本のすべての大学のコーチは、その部分こそ学ぶべきですし、僕自身の立場としても、そこを広く伝えてきたいと考えています。

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