■作品名 新世界より
■作家名 貴志祐介

こちらに攻撃手段はなく、相手の前に姿をさらした時点で瞬殺されるという、絶体絶命の状況を、推理によって逆転する、ラストのどんでん返しにも驚かされましたが、ラストだけでなく全編が衝撃の連続。寝る間も惜しいくらいの勢いで一気に読まされる作品でした。

作品の主な舞台は1000年後の世界の「神栖66町」という小さな田舎町。人間がみんな超能力(作中では「呪力」といいます)を持ってたり、バケネズミなど現代の世界にない生物がいたり、電化製品も自動車もない明治・大正くらいのライフスタイルになってたり、といった違いはあるものの、いたって平和でのんびりした田舎町に見える神栖66町の、血も凍るような恐るべき内実が、読んでいくと次第に明らかになります。

まあ、未来の世界を描いた作品には、何かしらディストピア的な要素があるものですが、これほどまでグロテスクな未来を描いた作品は、なかなかないのではないでしょうか。しかも、ただグロテスクなのではなく、そうならざるを得ない必然性が説得力をもって描き込まれていて、リアリティがある分、怖さも半端ではありません。幽霊や化物よりも人間が一番怖い、というようなことは、よく言われますが、この作品を読むと、人間の恐ろしさがこれほどとは…と、今までの人間観の甘さを思い知らされます。

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