どうだった? 消費税率アップ前の駆け込み需要と反動減
私は昨年末、今回の記事と同様の話を書いたのですが、そこで「消費税率のアップが最大の話題になる」という意味合いの記事を書きました。それについては的中したのですが(まぁ状況を考えれば当たり前のことですが)、予想外だったのはフタを開けてみるとその影響が限定的だったということです。2013年は翌年4月に消費税率8%になることから住宅取得への関心が非常に高まった1年だった。2014年も2015年10月の10%へのアップに向け、消費税に関する議論は要チェックだ
このことをどう考えればいいのか色々と考えたのですが、一つは消費税率のアップが大きな影響を与えないよう、政府による住宅取得支援策が充実していたことが指摘できます。言葉を換えると、消費税アップ後に住宅を取得した方がお得になる人も出てくるようなそんな仕組みがあり、そうした情報から消費者がいつが買い時なのか理解し冷静に検討していたということです。
前回消費税率が改定された1997年は、税率アップの補完策となる住宅政策がほとんどなく、そのため税率アップ前の駆け込み需要が膨大になり、その反動減に住宅産業が大変苦しんだという経緯がありました。ですが、今のところそのような心配はなさそうです。
もう一ついえるのは、アベノミクスに代表される現在の経済環境がそれだけ力強さを持っていたということの現れなのかもしれないということ。住宅市場は景気の先行きに敏感に左右されるものといわれ、これまで株価などの先行指標が良い時期は比較的、需要は堅調に推移してきました。そのことが現在の状況にも当てはまるということです。
2014年は2015年10月の税率10%へのアップをにらんだ1年に
普段は閑散としている感のある住宅展示場だが、2013年は非常に熱心に住宅取得を検討する人たちで盛り上がっていた
もう一つは、2014年は消費税率10%への上昇をにらんだ1年になるということを考えておくべきでしょう。10%の税率適用は2015年10月の予定。そこまでにもう一段の住宅の駆け込み需要が発生することも大いにあり得ます。ただ、注意も必要。10%に本当にあげるのか、さらには軽減税制が実施される可能性があることなど、まだまだ不透明な部分があります。
軽減税制とは、生活に不可欠な製品やサービスについて消費税率を低く抑えることをいいます。例えば欧米では食料品や住宅の取得について、この制度が適用されている国があり、日本でも導入すべきとの議論があります。その導入状況の是非はもちろん、現在の住宅取得支援策がその影響から変化することもありますので、私たち消費者はしっかりと注視すべきだと思います。
10%への税率引き上げも景気動向を見定めながら実施の是非を決めるものだと思われます。とはいえ何かと強気な現政権ですから、10%への移行は既定路線でしょう。とにもかくにも、消費税率10%は住宅取得を目指す人たちにとっては大きな関心事には違いありませんので、住宅市場の先行きは不透明であるのは否めません。
ここまで消費税率の話題を中心に書いてきましたが、次ページについては住宅のトレンドについてのお話を中心に書いていきたいと思います。