家計支出は2007年以来の増加幅!でも節約志向は健在
2013年の総世帯(平均世帯人員2.44人、世帯主の平均年齢58.0歳)の消費支出は、1世帯当たり1ヶ月平均25万1576円で、2012年に比べて名目1.6%の増加となりました。1%を超える消費支出の加は2007年の1.3%以来6年振りです。2013年は、外食を含む食料、パック旅行費を含む教養娯楽、自動車等の購入を含む交通・通信などの支出が目立って増加しています。家計に余裕があるときに支出が増える項目であることから、アベノミクスによる円安、株高が進んだうえ、景況感が改善したことの証と言えそうです。また、2014年4月からの消費税の引き上げに伴う駆け込み需要などの影響もあったようです。
家計調査では総世帯の消費支出を10大費目に分けていますが、食料、教養娯楽、交通・通信、住居、家具・家事用品、被服及び履物、交際費などのその他の消費支出、保健医療の8項目が実質増加となった反面、光熱・水道、教育の2項目が実質減少となっています。
私たちの家計管理の支出項目と随分異なりますが、光熱・水道費用が減少しているのは、景況感が改善したとはいえ、家計は節約志向が依然として高いことがうかがえます。
勤労者の実収入は微増
支出は名目1.6%の増加となりましたが、勤労世帯(平均世帯人員2.76人、世帯主の平均年齢46.2歳)の実収入は1世帯当たり1ヶ月平均468570円で、2012年と比較して名目で0.2%の増加となりました。支出の増加幅より実収入の増加幅が低いということは、資産を取り崩して消費している、あるいは株高などによる資産効果という面がありそうです。ただ、2人以上世帯のうち勤労者世帯についてみると、世帯収入のうち臨時収入・賞与(ボーナス)は、夏季(6~8月平均)は名目5.3%増加、年末(12月)は名目2.7%増加になったことから、ボーナスの増加により財布の紐が緩んだことも支出増の影響かもしれません。
実収入の増加幅は低めに甘んじていますが、勤労者世帯の直接税、社会保険料などの非消費支出は8万7604円、2012年と比較して名目で4.4%も増加しています。直接税が増えたのは、実収入が増えたこと、復興特別所得税が所得税に上乗せされたことが要因です。また、公的年金保険料、健康保険料などの社会保険料は、厚生年金保険料が引き上げられた影響のようです。
可処分所得は名目、実質でも減少している
勤労者世帯の可処分所得(実収入から直接税、社会保険料などの非消費支出を差し引いた額)は38万966円で、2012年と比較して名目で0.8%減少、実質でも1.3%の減少です。実収入の増加幅よりも直接税、社会保険料の増加幅が大きいことが原因です。
2014年は消費税が引き上げられるうえ、復興特別住民税も徴収されます。厚生年金保険料も引き上げられることから、実収入が大幅に増えない限り、可処分所得の増加は期待できないかもしれません。家計には厳しい状況が続きそうです。
家計の黒字(可処分所得から消費支出を差し引いた額)は10万324円となり、2012年に比べ名目6.3%の大幅な減少になりました。黒字率(可処分所得に対する黒字の割合)は26.3%となり、2012年に比べ1.6%低くなっています。
預貯金純増、保険料純増ともに2012年より低下していることから、家計からの貯蓄へ回す余裕がなくなっていることが分かります。やや分かりにくい表記ですが、皆さんの貯蓄の状況は2012年と比較して改善しましたか、それとも家計調査同様低下していますか?
次回は世帯属性別収支などを見ていくことにしましょう。