こうした中、三陸鉄道では、自然の猛威、命の大切さ、人と人のつながりなど様々なことを多くの人々に学んでいただきたいとの思いから、列車で移動しながら沿線の実情を説明する「震災学習列車」を運行している。今回、実際に乗車する機会があったのでレポートしてみたい。
三陸鉄道南リアス線の現状とクウェートの支援
大震災発生により、三陸鉄道南リアス線では、4両あったディーゼルカーのうち3両の車両が津波により冠水して使用不能となったが、クウェートの資金援助により新車に置き換えた。
残り1両は震災発生時、トンネル内で緊急停車して難を逃れ「奇跡の車両」と言われている。NHK「あまちゃん」のエピソードは、この車両の実話をもとに製作されたものだ。
南リアス線の南の起点盛(さかり)駅は、JR大船渡線、貨物専業の岩手開発鉄道と並んでいる。しかし、大船渡線は震災による被害で不通になったままで、今は線路が舗装されBRTと呼ばれるバスによる仮復旧を遂げている。したがって、旅客営業を行う他線との接続を持たない状態にある。
私の乗車した「震災学習列車」は、クウェートの支援で新造されたディーゼルカーで運行された。車体には、クウェートの支援に感謝を表するため、クウェートの紋章とメッセージが三か国語(アラビア語、英語、日本語)で記されている。車内はゆったりとしていて、4人掛けの各ボックス席は長いテーブル付きで食事をするにも便利だ。普通列車用としては破格の設備であろう。