国債・債券/個人向け社債の最新情報

表面利率何%をメドに社債を購入すればよいのか

債券投資に影響を及ぼす長期金利は、2012年から続いた低下トレンドに終止符を打ったようです。2013年夏場以降は0.7%を挟んだ展開が続いていますが、専門家の先行き見通しの大勢は緩やかな上昇です。金利の上昇は債券投資にとってネガティブな要因となるはずですが、債券は他の確定利付き商品よりも利率が高くなっています。何%以上の利率であれば、金利が上昇しても損をする可能性が低いのか予測してみましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

  • Comment Page Icon

意外に発行された高利率の社債

利率何%の社債ならば投資してもいいか

利率何%の社債ならば投資してもいいか

人によって高利率の基準は異なると思われますが、筆者の感想では意外と高利率の債券は発行されているという印象を受けました。

2013年10月半ばまでの長期金利の動き、さまざまな確定利付き商品の金利水準を考えると、償還期限が3年~5年の債券であれば、表面利率が1.2%以上あればかなりの高利率と思われます。

2013年に発行された社債(円建て外債=サムライ債を除く)では、ソフトバンクの第41回債が償還期限4年=1.47%、同第43回債が償還期限5年=1.74%、第30回マネックス債が償還期限5年=1.50%などが発行されました。2013年9月募集の個人向け国債が、3年=0.11%、5年=0.24%、10年=0.51%ですから、かなり高利率といえるはずです。

もちろん、発行体の信用リスクが異なることから、単純に利率だけで比較して投資するには誉められたものではありません。しかし、マクロ経済の動向、発行体の企業業績を考慮すれば、信用リスクはあまり高くはないのではないかと考えています。

長期金利の上昇をどう考えるか

高利率の債券は人気が高いから、なかなか購入できないことも多いのではないでしょうか。

先にあげたソフトバンク債は発行額が数千億円あったものの、マネックス債の発行額は50億円。しかもメールマガジンなどの告知しか行われていないのです。
(高利率のマネックス債はマネックス証券、SBI債はSBI証券でしか購入することができませんので、どちらかの証券会社に口座を開設しておく必要があります)

高利率の債券に投資するのが難しければ、おのずと少し利率の低い債券に投資対象を変えるか、高利率の債券に投資できるまで、ひたすら頑張るかのいずれかでしょう。ここでは、少し利率の低い債券に投資する基準を考えて見ましょう。

今後、金利が上昇することを考えると、長期金利がどのくらいまで上昇するのかを考えなければなりません。2013年5月の長期金利の最高は1.0%でした(ザラ場中)。

さらに、時間軸を長く取れば2011年3月には長期金利は1.3%台まで上昇しています。1.0%未満の長期金利に慣らされてしまうと、1.3%という水準は遠い数字かもしれませんが、わずか2年前、東日本大震災があった少し前と考えれば、あながちありえない水準とはいえないでしょう。

個人向け国債5年の利率を振り返ると

長期金利が1.3%台を付けた前後に発行された個人向け国債5年物の表面利率は0.52%。社債の場合、国債の利率に一定のリスクプレミアムが乗ります。格付けによって上乗せされるプレミアムは異なりますが、過去数年の水準から概算すれば0.1%~0.4%程度と考えら得ます。もちろん、その時の経済・マーケットの状況でリスクプレミアムは過去とは異なることがありえることは忘れないでください。

償還期限5年までの社債であれば、信用格付けが高いものだと0.62%、低いものだと0.92%以上であれば、今後数年の金利上昇を見越しても大きな損をする可能性は低いと言えそうです。

高利率の社債になかなか投資できない場合、信用リスクを考慮しないのであれば、0.92%以上1つの目安と考えて投資してもよいかもしれません。ただし、この目安が使えそうなのは今後数年間だけと思われてなりません。

【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/12/31まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます