社会風刺も盛り込まれた大人向けの内容
■作品名ムーミン・コミックス(全14巻)
■作者名
トーベ・ヤンソン、ラルス・ヤンソン
■訳
富原真弓
■出版社
筑摩書房
■おすすめ理由
小説版の作者トーベ・ヤンソンとその弟ラルス・ヤンソンが共同で1954年から15年間、ロンドンの新聞に連載したマンガ版「ムーミン」。小説と似たエピソードもありますが、小説をそのままマンガ化したわけではなく、基本的には別作品です。
「ムーミン」というと、アニメなどで子供向けのイメージをもたれている方も多いのではないかと思いますが、実際は違います。とくにマンガ版は、新聞連載ということもあってか、ひねりの効いた社会風刺や、ハッとさせられるような哲学的な警句が随所にあって、かなり大人向けの内容。ムーミンやムーミンパパ、ムーミンママ、スノークのお嬢さん、スナフキンらの、実に個性的でマイペースなキャラクターたちが醸し出す、なんともいえないとぼけた雰囲気や、ほとんどシュールとさえいえる展開のおかしさも、大人でないと十分味わえないのではないかと思います。大人の固くなった頭を柔らかくしてくれる、そんな作品としてオススメです。