欲しいものは殺害して手に入れるカラに狙われた夕貴の運命は……。
『美しき殺人者 サイレーン』
■連載雑誌週刊モーニング
■作者名
山崎紗也夏
■ストーリーと概要
2013年21・22合併号から『週刊モーニング』に連載中のサスペンスストーリー。
作者の山崎紗也夏は、過去に「レンアイ漫画家」や「シマシマ」、「はるか17」を同誌に連載していました。
主人公は武蔵県機動捜査隊に所属する里見偲と猪熊夕貴の二人の刑事。
二人は仕事でバディを組むが、私生活では恋人同士。もちろん、警察という仕事上、職場には二人の関係は内密にしています。
そして、猪熊と里見が変死体発見現場で出会った謎のキャバ嬢・橘カラが物語に絡んできます。
夕貴(猪熊)に興味を抱いたカラが様々な手段を用いて、夕貴に近づく機会を狙うのです。
ある日、偶然を装いプールで夕貴と出会ったカラ。盗撮を行う女を自らの裸体が映るのを覚悟で逮捕しようとする夕貴を見て、「その正義感」を手に入れたいと考えたカラは、自ら事件を起こすことにより、夕貴に接近を図ります。
その事件とは、友人の恋敵の妻を殺害し、さらにその友人に罪を被せ自殺に見せかけて殺してしまいます。
■おすすめの理由
主人公の里見と猪熊以上に物語の中で存在感をみせる橘カラ。
カラは「空」の意味であり、彼女は自分にないものを持っている相手を殺すことにより、自身にかけているものを相手から奪い「空」の部分を埋めていきます。
「きれいだが、どこかあか抜けない」と同僚にいわれていたカラは、女性マネージャーを殺害することにより「そのあか抜けた佇まい」を手にし、あか抜けた美しさを手に入れます。
「自分は選ばれた人間」と語るタクシー運転手を殺害することで、「その選ばれた存在」を奪い取ります。
そして、カラは夕貴を殺害することで、「その正義感」を手に入れようと……。
里見は、夕貴からカラの話を聞くたびに、カラに対して不信感と疑いを募らせていきます。
心に深い闇を抱えたカラと里見・猪熊コンビの対決が楽しみです。