原作者の坂田信弘の人生観を表現された作品
■作品名風の大地
■連載雑誌
ビックコミックオリジナル
■作者名
作:坂田信弘、画:かざま鋭二
■ストーリーと概要
京都大学を中退し、24歳という遅い年齢で鹿沼カントリークラブの研修生となった沖田圭介。
研修生となった沖田は、持ち前の努力と並外れた練習量、そして沖田を支える多くの人々と出会いプロテストに合格します。
プロ入りした後は、アジアサーキットで総合2位の成績を残し、日本オープン、全英オープンなどのメジャートーナメントで優勝争いを演じます。
しかし、オフシーズンに鹿沼に帰った沖田に試練が襲います。先輩の研修生・笠崎隆とともに交通事故にあい、ゴルファーとしては大切な左足首を負傷してしまうのです。
そして、奇跡的にも怪我を克服した沖田は、再び世界のトーナメントに参戦していきます。
■おすすめの理由
「風の大地」には、原作者の坂田信弘の人生観がありありと表現されていると感じます。
坂田さんは、沖田という人物に自分の人生を重ねているのだと思います。
沖田がプロゴルファーになる経歴は坂田氏の経歴と見事なまでにダブります。
坂田氏自身、京都大学在学中に親が亡くなり、大学を中退、自衛隊入隊の後に研修生となり、28歳でプロテストに合格します。
坂田氏は、ツアープロとしては大成しませんでしたが、レッスンプロとして、スパルタ教育で知られる「坂田塾」を主宰しています。
坂田氏が理想とするゴルファー像、人物像の反映が沖田圭介であろうと推測されます。
「風の大地」のストーリーを振り返ってみますと、沖田を支えた宇賀神にしてもリリィにしても、みな志半ばで倒れていきます。
笠崎にしても、沖田よりひどい怪我を乗り越えて、プロ合格に大手をかけながらアクシデントで沈んでいきます。
夢に向かい突き進むことは大切だが、人生には何があるかわからない。それを乗り越えてこそ、人は成長できる。そんな、坂田氏のメッセージが聞こえてくる作品です。