1冊で色々なストーリーを楽しめる連作短編集
うるわしの英国シリーズ
- 月の出をまって (2002年発行)
- 中国の鳥 (2004年発行)
- 空中楼閣の住人 (2005年発行)
- 花々のゆううつ (2006年発行)
- 扉をあける風 (2007年発行)
全5巻
■作者名
波津彬子
■おすすめの理由
19世紀のイギリス貴族の生活を描いた連作シリーズです。
富も爵位もあるのにどうしても結婚話がまとまらない独身貴族、コーネリアス・エヴァディーンのラブロマンスが物語の主軸として語られます。作者あとがきで、コーネリアスのことを「フーテンの寅さん」と表現されていることがありましたが、確かに彼は人の世話ばっかり焼いて、見合いの相手や友人から感謝されるものの、父親からは「また見合いに失敗したのか!」と怒られる損な役回りの人です。そういう意味では「英国人情もの」マンガともいえるかもしれません。
しかし彼が全く登場しない回も多く、空想したことが現実となる不思議なお屋敷に引き取られた少年の物語や、幽霊騒動を解決する心霊科学者親子の物語、コーネリアスの飼い猫の日常を描いた短編など、ファンタジー・ミステリータッチのお話も収録されています。色んなフレーバーを味わえるまさにプティフールのようなマンガです。
表紙だけみるとちょっと耽美的雰囲気で読む人を選びそうですが、そんなのことで読まず嫌いをするのはもったいない!ちょっと謎めいたストーリー展開に心温まるハッピーエンド、くすっと笑えるような息抜きアリの王道少女マンガですので幅広い年齢の方に読んでいただきたいです。