波乱万丈の学生時代を描いた深い作品
■作品名学生たちの道
■作者
西谷祥子
■巻数
全2巻
■おすすめ理由
60年代を代表するロマンティック作品の代表者、
西谷祥子さんの「アルト・ハイデルベルク」っぽい作品
外国の学生の恋、夢いっぱいの作品
でも、主人公の少女がきれいで健気で、今の貧しい状況にもめげず
誰にでも優しく生きていくのに対して、
西谷先生の主人公の少女は、嫌なことは嫌とはっきり言います。
そして、自分の状況を見極め、成長していきます。その変化が面白いです。
主人公の青年も、完全ではないですが
まだ、大人になれてないからこれからがあると、若者の可能性も課題だったりします。
学生たちの道は、学生がいっぱいですので
それぞれの道を求めて、様々な運命のいたずらが起ります。
■あらすじ
主人公の青年はアルバート。弁護士を目指してスイスの男子校にやってきます。
始めての寮生活、仲間、すぐに親友になるヨーゼフ。
下宿屋の手伝いのジョアンナとは恋人っぽくなりますが
充実した学生生活、楽しい仲間との語らい、
学生生活を謳歌しているそんな時に、悲劇が起こります。
弁護士の父親が多額の借金を残して死にます。
一文無し、借金まで、妹を抱えたアルバートは
金貸しの娘、ザザの愛人になり、妹ともにザザの世話になります。
ジョアンナにも不幸がおそいます。
不幸なのかどうか、ジョアンナは不幸と考えるので不幸なのでしょう。
父親と思ってた人は、赤ん坊のジョアンナを誘拐した人だった。
父親はジョアンナの父親ではなかった。
貴族の家の家庭教師していた父はお嬢様に恋をして、
その赤ん坊をさらってきてしまったと
いうジョアンナにとっては、青天霹靂の事実がわかります。
本当の親元に引き取られていきます。
父親への告訴を取り下げるのを条件に、貴族の娘として暮らすことになったジョアンナ。
嫌われ者ネロを殺して殺人罪で刑務所に入れられるモーリス
みんなバラバラになって、それぞれが苦しみます。
いずれは成長して、社会の役に立つ人間になりたかったそれぞれの道……。
波乱万丈の学生時代、青春と友情、大人と子供の心の変化。
なんで、こんなに短くまとめれるんでしょうね。
単行本2冊程度ですが、中身は本当に深いです。