直接的な衝突を避けるための非武装地帯
第二次世界大戦後、東西に分断されたドイツは1990年に統一を果たしましたが、朝鮮半島は未だ南北に分断されたままです。北緯38度線は韓国と北朝鮮が対峙する軍事境界線となり、このライン近くに、非武装地帯DMZが設置されました。第二次世界大戦終戦間もなくの1950年に米ソが対立する中、朝鮮戦争が勃発してしまいました。1953年には休戦協定が結ばれましたが、北緯38度線を境界線として、韓国と北朝鮮は睨み合いを続ける戦時下に似た状況にあります。
その際、互いの国の直接的な衝突を避けるため、非武装地帯が設けられました。そのエリアは、軍事境界線を挟み南北2キロ、幅4キロに及びます。その中心となるのが板門店です。ソウルからは北に50キロ、北朝鮮の開城(ケソン)からはわずか10キロに位置しています。
朝鮮戦争の休戦協定が締結された板門店には、「軍事停戦委員会 本会議場」を中心として、直径800メートルの円形の丘陵地帯となっています。
1954年には、国連軍と北朝鮮軍による共同警備区域JSAに定められました。敷地内には両軍の兵士の姿が見られ、この地域の警備に当たっています。兵士の姿を見ると、思わず背筋が伸び、緊張感が走ってしまいます。
テレビのニュースなどでディスプレイに映し出される軍事停戦委員会会議場にも入ることができます。会議机の中央には、マイクとマイクケーブルが置かれ、南北の境界線を示しているのです。机に横たわるケーブルが、軍事境界線でもあり、地球の緯度線でもあるのです。
■非武装地帯DMZ
住所:京畿道坡州市