現代版とは異なる、禍々しいムードがたちこめた鬼太郎の世界
■作品名墓場鬼太郎
■原作
水木しげる
■巻数
全6巻
■出版
角川書店
■おすすめ理由
妖怪好きのマニアックな方はもちろんのこと、小さい子どもにも人気のアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』。
鬼太郎のルーツは『墓場鬼太郎』というタイトルの貸本漫画にありました。
初期の鬼太郎は、今のように悪い妖怪たちと闘う正義の味方ではありません。
なんというか……もっと邪悪でおどろおどろしくて腹黒い感じです。
時折、『チャイルド・プレイ』のチャッキーみたいな表情を見せることすらあります。
猫娘も同様です。
というか、個人的には今のギャルっぽい猫娘の方に違和感があるのですが……。
ねずみ男の極悪非道っぷりも今の2倍。
作品全体に禍々しいムードがたちこめていて、まがうことなき恐怖漫画。
今の鬼太郎しか知らない方にとっては、かなりショッキングな内容かも知れません。
なのに、読み始めると一気に「ブラック鬼太郎」の世界にはまり込んでしまいます。
鬼太郎とその仲間たちの原点を知りたい方は、必読。
昭和30年代の貸本漫画を復刻するという作業はかなり大変だったと思うのですが、ありがたいことに角川文庫からちゃんと文庫本が出ていますので、ぜひ。