どうしても動物病院に連れていけない時は
こんな小さな子はケージへ
このテーマについてご説明をする必要を感じたのは、二つの理由があります。まず、この会話をご覧下さい。受付の電話を聞いていると、こういうことがよくあるのです。
受付「はい、○○動物病院です。」
飼主さん「すみません、これからそちらに伺おうと思いますので、よろしくお願いします。近いのであと10分くらいで着きます。」
受付「ではお待ちしております。」
ということで、スタッフ全員で待っています。ところがいつまでたっても到着されません。そのうちに、また電話がかかってきます。
飼主さん「あのー、さきほどお電話した者なのですが。実はタクシーを呼びまして、乗せてもらおうとしたら、ダメだと言われまして……。今息子が帰るのを待っているんですが、どうしても診察時間を過ぎてしまいそうです。」
タクシーに乗せてもらえない!多分このワンちゃんは大型犬で、タクシーの運転手さんはそのままシートに乗せたくなかったのでしょう。ケージに入れて乗車する場合は、断られることはあまりありませんが、いくらシートや毛布を敷いても、乗せるのには抵抗があるようです。
もう一つの理由は、最近の問題は飼主さんにご高齢の方が多いことです。力が足りません。車があっても車に乗せることができないのです。この場合も電話がかかってきます。
飼主さん「今から連れて行こうと思うのですが、ハアハア、なかなか車に乗ってくれないんです、ハアハア、ちょっと休んだらまたやってみます。」
飼主さん、気の毒すぎます!ペットの病気を治そうという心優しい方々が困らなくて済む、よいアイデアはないのでしょうか?その解決をいくつか考えてみました。
動物病院に連れていけないときはどうするか?
1.最初から送迎のある病院を探す。最近の動物病院は治療だけで手一杯というところが多いのですが、まずは聞いて見てください。専用車両を持っている病院もあります。もちろん飼主さんが同乗することはできませんが、連れていってもらえれば助かるのです。通院のできる回数も増えます。特に大型犬は大きめの車を持って搬送に対応してくれるところがあれば、タクシーの運転手さんと喧嘩しないですみます。
2.近所の方とのお付き合い
ペットが病気になると「近所の方が自分のことのように心配して下さって。」と仰る方があります。ご近所付き合いの上手な方です。急患の場合、こうしたコミュニケーションが日頃からあれば、搬送をお願いすることができます。時には人の力を借りることも必要です。
3.ボランティアの方に頼む
なかなか見つけにくいかもしれませんが、「通院ボランティア求む!」といろいろなところに声をかけてみましょう。もし見つかればありがたいのです。
4.往診を頼む
どうしてもだめなら往診を依頼します。その前にひとつ理解していただきたいのは、「往診だとできない治療がある。」ということなのです。犬は獣医師がやってくると、「自分の縄張りにやってきたよそ者」と認識し、強気になります。獣医師の側も、診療台や機材のない環境でいろいろなことをしなければなりません。
往診したけれど……「犬を押さえられなかった」「猫が逃げていなくなっていた」というのは、よくあることです。その場合、往診した獣医師が「連れて帰ります。」と提案したら、ぜひ同意してください。おとなしい犬猫の場合は往診で十分効果的な治療ができます。
先に治療費について書きましたが、往診はもちろん費用が余分にかかります。それでも効果があり、飼主さんの負担にならない場合はぜひ往診を依頼してください。最近は簡易な治療ができる車両を持っている病院もあります。