20代の中盤にお付き合いしていた人
1つ年下の彼は、私がそれまで出会った事のないタイプでいつも驚かされていました。大学のヨット部出身の自然児で、花の名前や木の名前、魚の名前に異常に詳しく、街が苦手で渋谷に出ると10分で気持ちが悪くなってしまう……。彼は特殊なシフトの仕事に就いていた為、私が出かけていても実家に遊びに来て、庭の手入れや室内のDIY等をサクサクこなし、母が作ったご飯を元気に食べて超元気に帰って行く……そんなアメリカの田舎に住む青年のような(日本人でしたが)……何かこう……とにかくそれまで出会った事のないタイプの人だったんです。
街が苦手な彼とのデートは主にドライブで、134号線……いつも湘南の海を見ながら車を走らせていました。ある時、海辺のパーキングに車を停めていつものように海を眺めていた時に彼が言ったんです。
「yukkoちゃん、ウニ好き?」 「うん、大好き!」と私が答えると、彼は「良し、分かった!」と、おもむろにパンツ1枚になって海にダイブ! これだけ読むとちょっとヤバイ人みたいですが、キラキラした目でそんな台詞を言われて本当に海に飛び込まれたら……それはもうキュンキュンしますよ!(今なら「あまちゃんかよ!」ってツッコんじゃうかもしれませんが)
キュンとした理由
その頃私はマスコミ関係の仕事を始めていて、周囲の男の人は「いい店見つけたから今度行こうよ。」とか、「ライブのチケットあるけど行く?」的な、割と軽いタイプの人が多く、そういう遣り取りを普通にこなしながら、やっぱりたまに「何かちょっと嘘っぽいなあ」なんて感じていたんですね。だから「好きな女子の為に海に飛び込んでウニを獲る!」って彼のストレート過ぎる言動が物凄く新鮮でびゅんびゅん響いたんです。結局彼とは3年付き合った後に別れてしまいましたが、今でも私の誕生日には必ずバースデーメールを送ってくれます。こうなったら、今も誰かの為にガンガン海に飛び込んでいて欲しいなあ、と思うのです。