燃料電池車/燃料電池車の基礎知識

燃料電池車の歴史について(2ページ目)

近年、燃料電池車は技術進化やコスト削減が進み、トヨタのFCHVやホンダのFCXクラリティが相次いで発表されるなど、燃料電池車は大きな注目を集めてきました。そのような次世代自動車という印象強い燃料電池車ですが、その原理が発見されたのは、今から200年余りも昔のことなのです。今回は、そんな燃料電池・燃料電池車の歴史について、お話しできればと思います。

中島 徳至

執筆者:中島 徳至

電気自動車ガイド

燃料電池車の世界的な広がり

それ以降、燃料電池車の開発は急速に進み、2008年にはトヨタがFCHV-adv、ホンダがFCVクラリティ2を発売し、2015年までには、トヨタとホンダが500万円以下のトヨタFCV-R、ホンダFCXクラリティの販売を計画しています。

また燃料電池車の普及実現に向けて、欧米企業と日本企業の技術的提携を通じて燃料電池車を普及させようとする、本格的な取り組みも始まっています。トヨタは2012年6月にBMW社と技術提携をすると同時に、ホンダは2013年ゼネラルモーターズ社(GM)と、燃料電池電気自動車の普及のため、2020年頃の実用化に向けた次世代型燃料電池システムと水素貯蔵システムの共同開発を行うことに合意し、長期的な提携契約を締結したと発表しました。そのほかにも、燃料電池車に乗り遅れた日産自動車も、遅れを取り戻そうと、フォード、ダイムラーと共に、FCVの技術提携を結ぶことを決めました。

このように、トヨタやホンダ、日産などが欧米大手企業と戦略的技術提携をしたことにより、燃料電池車の開発は世界各国に広がりを見せ始めています。次世代エコカーの本命とされる燃料電池車の開発競争が、世界中で激しさを増してきた今日、日本が今後燃料電池車の先進国となるためには、政府と自治体の支援がどれだけ進むかがカギになると私は考えます。
(図)トヨタ自動車undefinedFCV-R

(図)トヨタ自動車 FCV-R

(図)ホンダFCXクラリティ

(図)ホンダFCXクラリティ

燃料電池車の今後の展開と可能性

このように、燃料電池車は技術進歩が進む一方で、インフラ整備、法改正、自動車技術についての課題など、まだまだ乗り越えるべき多くの課題を抱えています。燃料電池自動車の普及のためには、まずインフラの整備が必要となります。水素を充填するための水素ステーションは現在、実証実験用として全国に19基しか設置されておらず、更なるインフラ整備の拡大がまずは必要とされます。インフラ整備以外には、水素ステーションの普及を阻む要因として法律による規制、具体的には高圧ガス保安法や消防法などの規制が挙げられましたが、これらは今年に入り規制緩和の動きが進み、ガソリンスタンドの横に水素ステーション建設が許可される等、自由度が高まりました。今後も燃料電池車普及に向けて有効な規制緩和が期待されます。

このように、これらの課題解決を政府、並びに社会が進んで推し進めることで、今後燃料電池車への可能性が広がっていくでしょう。また、官民連携して協力することで、今までに普及の上で多くの課題を抱えてきた燃料電池車への道が今後開がりを見せていくのではないでしょうか。経産省所管のNEDOは2015年に一般ユーザーへの普及させるという目標を掲げておりますが、その目標も実現可能となるのではと私は考えています。
(図)燃料電池車普及に向けた政府・自治体支援

(図)燃料電池車普及に向けた政府・自治体支援

(図)NEDO二次電池技術ロードマップ

(図)NEDO二次電池技術ロードマップ


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