薬の飲ませ方・こうして飲ませましょう
しっかり薬を飲んでくれないと困るのは、獣医師とて同じことです。家庭で薬を飲んでいるという前提で治療を行っています。もしそのペットが「飲んでいない」もしくは「飼主さんが飲ませられていない」ということがわかれば、注射などに切り替えることができます。一番困るのは「飲んだか飲んでないか判らない」という状況なのです。
具体的には、
- えさに混ぜて食べさせたと思っていたら、残していた。
- 飲ませたら飼主の見えないところで吐き出していた。
さて、そんな闘いを少しでも楽にするための方法をいくつか挙げてご説明します。問題の多くは、「どの犬や猫も同じである」と考えるところにあります。ペットを「いうことを聞くランク」別に分けて、対策を考えたいと思います。
1. とてもおとなしい、噛まない、身体をさわられるのが好き
直接口に薬を入れます。よく「すぐに吐き出す」と言われるのは、口に入れた時点でそのままにしているからです。手順は- 口を開けさせる
- 薬をできるだけ口の奥に入れる
- 口を閉じさせて、そのまま押さえる
- 喉部分を撫でる
これでたいていの薬は飲ませることが可能です。それから、喉に詰まらせないためにペットの大きさに応じて薬を細かくしておくことが必要です。もしとても嫌がったり、抵抗した場合は無理に続けないで下さい。薬の後に好きなものをあげるのも良い方法です。
2. やや抵抗する、噛む、引っ掻く
この場合は対策が必要です。特に猫の飼主さんでお困りの方が多いようです。猫の場合は必ず洗濯ネットを用意して、首だけ出すようにしてください。人数もできれば3名くらい必要です。この方法は目薬投与にも応用ができます。手順は以下のとおりです。
- 猫(もしくは抵抗する小型犬)をネットに入れ、首だけを出す。ネットは手足が動かないようにねじっておきます。
- 手袋(家庭の掃除用ゴム手袋などが望ましいです)をはめ、首の後ろから口を開けさせる。
- 薬を別の人が同じく、手袋をはめた手で口に入れる。
- 口を閉じさせて、そのまま押さえる
- 喉部分を撫でる
と、以下同じです。もう一名は手足を軽く押さえて、ネットから引っ掻かないようにします。ただし、あまり興奮するときは中止してください。また、力を入れすぎないように注意してください。
3. 抵抗が大きい、身体を触らせない、噛む
「飼主はペットをさわれるようにしておくのが理想」といろいろな訓練の本に書いてあります。身体を触らせるのは両者の信頼が成り立っているからです。しかし、残念なことにしつけがうまくできていなかったり、途中から飼育を始めたり、預かっている犬や猫であったり、事情は人それぞれです。そんなペットでもお薬をあげないといけない場合があります。この場合は、
一番好きなものに混ぜて与える
がオススメの対策です。実はこの方法、「今まで好きだったものを食べなくなるというデメリットがありますが、背に腹がかえられないときは混ぜる方法でやってみてください。
実は混ぜるのはフードだけではなく、例えばチーズボールなどに丸薬を埋め込んで、最初の数個は薬なし、あとの1個だけ薬入りという与え方もあります。
空中キャッチの得意な犬に向きます。これは抵抗する犬だけではなく、フレンドリーな犬についても応用ができます。そして、この場合必ずチェックするのは「餌を全部食べたかどうか」です。「食べてから吐き出していないか」も確認してください。
この場合は注射など、違う方法しかありません。まず薬をもらった獣医科病院に相談です。無理してペットと格闘するのは避けてください。獣医師も飼主さんが怪我をされることはできるだけ避けたいのです。