各チーム15人という大人数でプレーするラグビーには、多くのポジションがあります。ひとたびプレーが始まると様々なポジションの選手が入り乱れるため、「誰がどこにいるのかわからない!」と感じる人もいるでしょう。ここでは各ポジションの基本的な役割と特長を説明します。それぞれの大まかなイメージを頭に入れておけば、ラグビー観戦がぐっとわかりやすくなるはずです。
フォワードは前線でチームを支え、後方のバックスが牽引する
ラグビーには、大きく分けてフォワード(FW)とバックス(BK)という2つのポジションがあります。フィールドで複数のプレーヤーによって行われる他の競技と比べると特殊なのですが、ラグビーのFWはゴールラインに近い位置でプレーするポジションながら、あまり目立ちません。サッカーやバスケットボールのFWとは異なり、地味な部分でチームを支えることが主な役割になります。一方BKの役割は、グラウンド後方に位置しながらゲームをコントロールし、チームをリードすることです。ゴールから遠いポジションの選手がチームを引っ張るのは、「ボールを後方へしかパスできない」というラグビーの特性からくる特徴といえるでしょう。
トライをたくさん挙げたり、得点王争いをするような選手のほとんどはBKです。一方FWは、常に前線で体を張ってチームを下支えする役割を担います。これがほかの競技ともっとも異なる部分です。
力自慢のフロントロー。空中戦に強いロック。バックローは万能型
最前線でスクラムを組むフロントローは力自慢の選手ぞろい
フロントローの後方でスクラムを押し込み、密集戦の核となるのは、ロック(LO/4、5番)の2人です。LOはスクラムを組む際、2列目に位置するため、「セカンドロー」とも呼ばれます。そして最後列でスクラムを支えるのは、左右のフランカー(FL/6、7番)とナンバーエイト(NO8/8番)という「バックロー」の3人です。この合計8人によって、FWは構成されます。
一般的にフロントローの3人は、体重の重い選手が務めるポジションです。がっしりした体型で、FWの中でも特にパワーのある選手が揃っています。LOは長身選手が務めることの多いポジションで、ラインアウトやキックオフキャッチなど、空中戦でボールを確保することも大きな役割となります。
バックローはFWの中でもっとも運動量が必要なポジションであり、攻守にバランスのとれた能力を求められます。全般にオールマイティーな選手が多いのですが、バックローは3人いるので、組み合わせによってトータルで能力を考えることができます。そのため、小さくても低いプレーが得意だったり、体が細くても走力があったり……というスペシャルな特長を持った選手が活躍できるポジションでもあります。