手書きメモでペーパーレスFAXを実現
もうひとつ電話に関連した機能としては、FAXがある。ただし紙での送受信を行うには、プリンターとスキャナーなどの周辺機器が必要だ。それらがない場合でも、モニター子機上で手書きFAX機能を使ったり、デジカメで撮影して画像データをSDカード経由でコピーしたりすることで、送信できる。受信の方も、画像データとしてモニター子機内に保存して閲覧できる。気をつけたいのは電源についてだ。2450mAhのリチウムイオンバッテリを内蔵しているものの、稼動時間は待ち受け状態で約15時間、通話なら約2時間、映像再生では約2~2.5時間程度と、タブレットとしては少々短めだ。したがって、基本的にはACアダプターをつないだまま使い、ちょっと移動して使いたいときだけバッテリ稼働に切り替えるという使い方になるだろう。
活用するには電話回線とインターネット回線の両方が必須
ここまで、ざっとホームスマートフォンの概要を説明したが、ひとつ注意しなければならない点がある。それは、本機をフル活用するには、電話回線とインターネット回線の両方が必要なことだ。本機を電話回線に繋げると、子機とモニター子機の両方から通話が可能になるが、インターネットにつながるわけではない。モニター子機からウェブを見たりSkypeで通話したりするには、別途光ファイバーやADSLなどの回線とISPサービスとの契約、そしてWi-Fiルーターが必要なのだ。逆に、インターネット回線だけでは、モニター子機からインターネットは利用できても、電話回線による通話はできない。
また、インターネットへの接続も有線LANポートがなく、無線のみだというのも注意が必要だ。Wi-Fiへの接続はWPSに対応しているとは言え、自分で行う必要がある。慣れた人なら簡単だろうが、そうでない場合は手こずるかも知れない。
その点で、端末購入と回線契約がセットになっているスマートフォンというよりも、端末と回線を別々に用意しなければならないという点で、パソコンに近い製品と言える。だから、例えば田舎の両親に、パソコンよりは簡単だろうと思ってうっかりプレゼントしたりすると、混乱の元になる。
回線契約やホームスマートフォンの初期設定、Wi-Fi接続などをすべて行ってしまえば、その後は電話機としてもネット端末としても、安定した運用が可能だ。プリインストールされているSkypeを使えばテレビ電話もでき、radiko.jpを使えばラジオ替わりにもなる。Google Playから地震速報アプリや天気予報アプリなどを入れれば、リビングに据え置きの情報端末としてより有効だ。
ニッチだがニーズが合致すれば便利
ざっとホームスマートフォンについて見てきたが、端的言えばかなりニッチな商品だと言える。電話回線とネット回線の両方が必要だという点で、電話機+Wi-Fi接続のタブレットという組み合わせと、大きな違いはない。さらに、タブレットとして見た場合、どうしてもスペックが最新のものからは見劣りする。また、携帯電話会社が販売するスマートフォンやタブレットなら、一つの契約で電話(音声通話)とネット(データ通信)の両方を使えるため、手続きや設定などの手間も少ない(もちろん、番号は080や090になってしまうが)。
一方で、固定電話が必要で、かつ既にネット回線も利用しているユーザーが、電話機の買い換えを検討しているなら、選択肢の一つとして考えられる。リビングで利用するタブレットとしては、おおむねニーズに見合うスペックとなっており、またアプリを利用することで災害や天気、スケジュール共有などが簡単にできるため、一般家庭向けの情報端末として、他に類似のものはない。
というわけで、固定電話とタブレット端末を合体させた「ホームスマートフォン」は、家電としての電話機と、ITデバイスとしてのタブレットが、絶妙に融合した製品となっている。有効活用するには、利用環境などを選ぶところはあるが、それにフィットするユーザーにとってはオススメのアイテムだ。