“NFC”とは一体何か?

NFCは“近距離無線通信規格”の1つなのですが、唐突にそんなことを言われても何のことかさっぱり分からない人がほとんどでしょう。

そこで思い浮かべて欲しいのが、SuicaやEdyなどの非接触型電子マネーカードです。こうしたカードは、専用のリーダーに近づけた時だけお金のやり取り、つまり無線で通信をする仕組みとなっています。NFCはこうした電子マネーカードなどと同様、極めて近い距離に近づけた時だけ、無線で通信するという仕組みを実現する規格の1つなのです。
 
iPhoneも7からNFCが導入され、SuicaがiPhoneでも使えるようになった

iPhoneも7からNFCが導入され、SuicaがiPhoneでも使えるようになった


日本における近距離無線通信規格といえば、先に触れたSuicaやEdyのほか、携帯電話を専用のリーダーにタッチして決済をしたり、情報を取得したりする“おサイフケータイ”や"Apple Pay"などに使われている「FeliCa」がよく知られています。ですが近距離無線通信規格には他にもいくつかの規格が、日本で多く使用されているのです。
 
NFC

モバイルSuicaなどの“おサイフケータイ”機能にはFeliCa規格が活用されている


例えば国際規格の「ISO14443 Type A」は、たばこの自動販売機「taspo」などに採用されています。また同じく国際規格の「ISO14443 Type B」は、運転免許証やパスポートなどに採用されています。このように、現在近距離無線規格は、国や用途によって複数の規格が入り乱れて使用されている、複雑な状況となっているのです。

規格が乱立して使用されている状況を改善するべく生み出されたのが、新しい国際標準規格「NFC」です。NFCはそれぞれの規格と互換性を持っている世界標準の規格であることに加え、互換性だけでないより便利な機能が加えられています。そうしたことから、最近のスマートフォンにはNFCが搭載されるようになったのです。
 
NFC

NFCは現在用いられている複数の近距離無線規格の上位互換となる規格だ

 

NFCスマートフォンで何ができる?

FeliCaなどと上位互換性を持ち、さらに多くのことができるようになったNFC。では実際、NFCがスマートフォンに搭載されることで、何ができるようになるのでしょうか。

1つは、従来のTypeA/B、そしてFeliCaなどの非接触ICカードの代替としての活用です。実際、日本のNFC対応スマートフォンの多くは、従来同様おサイフケータイとして活用できる仕組みが整えられています。

次が「リーダー・ライター」機能です。NFCに対応したスマートフォンなどであれば、NFCのICチップに保存されているデータを読み込んで活用することができます。それゆえ実際、ポスターにNFCのチップを取り付け、それをスマートフォンにかざして読み取らせることで情報を取得するという、QRコードのような使い方もなされているようです。

ちなみに、NFC対応のスマートフォンに、Suicaなどの電子マネーカードをかざして読み取り、内容を表示する「EMoneyReader」なども、そうした機能を活用したアプリの1つといえるでしょう。
 
NFC

リーダー・ライター機能を使用した「EMoneyReader」。電子マネーカードをスマートフォンにかざして読み取り、その使用履歴を読み取って表示する


そしてもう1つが「P2P」、つまりNFC対応端末同士を近づけた時に、相互にデータをやり取りする機能です。スマートフォンで言えば、Androidスマートフォン同志をかざして画像や連絡先などのデータを交換する「Androidビーム」機能がこれに相当し、端末間のデータのやり取りが赤外線などより手軽にできるようになります。
 
NFC

NFC対応のスマートフォン同士をかざし合わせてデータ交換ができる「Androidビーム」

 

周辺機器への活用が広がりつつあるNFC

さらに最近では、NFCに対応したスマートフォン向け周辺機器というのもいくつか登場しています。中でも注目されるのが、NFCをBluetoothなど無線通信の認証に使用した周辺機器です。

NFCを認証に使う理由は、タッチするだけと手軽で素早く、しかも確実に特定の端末との認証ができるためです。例えばソニーのワイヤレススピーカー(SRS-BTV5など)は、スマートフォンで専用アプリを起動した後、本体上部のNFC部分にスマートフォンでタッチするだけで、Bluetoothの機器同士をつなぐ“ペアリング”と接続を同時にしてくれる仕組みとなっています。通常、スマートフォンでペアリングをするにはいくつかの手順を踏んだり、パスコードを入力したりする必要があります。ですがNFCを活用すれば、そうした手間も不要になる訳です。
 
NFC

ソニーのBluetoothスピーカーには、NFCでスマートフォンとタッチするだけで認証できるものが多い


もちろん、NFCに直接かざしてデータをやり取りする周辺機器もいくつか登場しています。例えば、ドコモ・ヘルスケアのスマートフォン向け健康管理サービス「WM(わたしムーヴ)」に対応した、オムロンヘルスケアの体組成計や婦人体温計などはNFCを搭載。スマートフォンをかざすだけで、面倒なデータの入力を簡単にしてくれる仕組みを整えています。
 
NFC

オムロンヘルスケアが提供するNFC対応婦人体温計は、スマートフォンにタッチするだけでデータ入力ができる


今後は多くのスマートフォンにNFCが標準されると考えられることから、それに対応する周辺機器も徐々に増えていくものと考えられます。そうなれば、NFCが“よく分からないもの”から“いつの間にか使っているもの”へと変わっていくことになるかもしれません。
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