乗ってみたいと思わせる、乗って楽しいと感じられる
エンジンは最高出力340ps/最大トルク450Nmを発生する3リッターV6スーパーチャージドと、495ps/625Nmの5リッターV8スーパーチャージドを搭載。直噴やデュアル可変カム・タイミングシステムなどを採用
汗っかきのリアルスポーツカーでは決してない。本気になればそれなりにタイムを出してくれる爽快なシティランナー、といった風情だ。その総合的なパフォーマンスに敬意を表して、Fタイプの6発を特に、“XKF”と呼んでおく。
一方のV8モデルは、どうか。コイツは、ちょっと血走った猫科の猛獣であった。
迫力の動力性能は言うに及ばず、サウンドエフェクトもイタリアとドイツのミックスな演出で過剰。フロントにでかいエンジンを積んでいることを感じさせないパッケージングなど長所もあるが、筆者にはトゥーマッチであった。
シフト間のギア比差が小さいスポーツカー向けに設定された8AT(クイックシフト)を採用。V8 Sには排気系に電子制御式バイパス・パイプを用いることで排気音を変化させるアクティブ・エグゾースト・システムが備わった
Fタイプは、その隙間をズバリ、突いてきた。
価格的にはポルシェケイマンの上と911の下をカバーする。そのほか、価格的には、アメリカのシボレーコルベットや、日本に日産GT-Rあたりがライバルだから、なるほど、ジャガーのために残されていたかのようなスポーツカーマーケットではある。
乗ってみたいと思わせる、乗って楽しいと感じられる。そんなスポーツカーを造ることにかけては、ヨーロッパ車、特にイギリスとイタリアは非常に長けているんだよな、と改めて得心した。