株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

当面の高値をつけた?NYダウの今後の動向

2013年秋以降、FRBの量的緩和政策(QE)が縮小される見通しです。そのため、債券価格が低下し、金利が上昇。10年債利回りがNYダウの配当利回りよりも高くなっており、相対的な魅力が減ったことから、NYダウは当面の高値をつけた可能性があります。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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最高値を更新し続けたNYダウ。その背景は?

NYダウを構成する30銘柄はいずれも成熟企業

NYダウを構成する30銘柄はいずれも成熟企業

ニューヨークダウ工業株30種平均株価(以下、NYダウ)は、100年の歴史を持ち、米国、というより世界を代表するグローバル企業30社によって構成されています。

しかし、成長株投資に重点を置く多くの人にとって、NYダウ採用銘柄を取引することはあまりないと思います。これらはすべて成熟企業であるからです。

それでも指数としてのNYダウをチェックすることは、どの投資家も毎日行ってるものと思います。NYダウは相場の方向やマネーの行き先を示すバロメーターなのです。今回はそのような視点で、世界マネーの流れに変化が見える点を見てみたいと思います。

2013年8月初めまで、NYダウは最高値更新を続け絶好調でした。ただ、NYダウの上昇は好調な経済が押し上げたものではなく、FRBがあふれ出させたマネーの力によって演出されたものとみています。

このことは、米国10年債利回りの推移と重ね合わせて見ていくと、よく理解できると思います。2011年5月以降の米国10年債利回りの推移を著したのが、以下のグラフです。
2011年5月以降の米国10年債利回りの推移

2011年5月以降の米国10年債利回りの推移(クリックで拡大)


量的緩和であふれ出た資金を吸収して上昇してきたが……

リーマンショックの起こる前年、当時サブプライムローン問題がメディアを騒がし始め、原油価格が100ドルを超えようとしていた頃、NYダウは当時の史上最高値を約7年ぶりに更新しました。その時の米国10年債利回りは5%を超えていたのです。このような高い利回りに屈することなく、当時のNYダウは強すぎるほどの世界経済を背景に最高値を上昇できました。

時は移り、金融危機を経てFRBは3度の量的緩和策(QE)を打ち出しました。これによってFRBの資産は数倍にも大膨張し、その対価として異次元のマネー量が金融機関へと流れて行ったのです。

この異次元のマネーはすべて経済やビジネスに使われたわけではありません。むしろ経済はスローだったため、余った多くのお金が債券か株式に流れました。

そしてこの量的緩和でFRBは大量の国債を毎月買い上げるため、国債価格は下がり、その結果10年債利回りは1.5%水準まで下がりました。最も低かった利回りの時期は2012年の夏から2013年春までの間でした。出口政策の見え出した2013年8月現在、利回りは3%へ近づこうとしています。このタイミングでNYダウが高値を取ったというのは重要で、当面の天井をつけた可能性もあると思います。

次のページでは、NYダウが高値を取った可能性があると考えた根拠を説明します>>>
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