精神保健福祉士国家試験とは
精神保健福祉士になるには
精神保健福祉士の試験科目(専門6科目共通11科目)は次の通りです(第25回国家試験)。
専門科目
1.精神疾患とその治療
2.精神保健の課題と支援
3.精神保健福祉相談援助の基盤
4.精神保健福祉の理論と相談援助の展開
5.精神保健福祉に関する制度とサービス
6.精神障害者の生活支援システム
共通科目
1.人体の構造と機能及び疾病
2.心理学理論と心理的支援
3.社会理論と社会システム
4.現代社会と福祉
5.地域福祉の理論と方法
6.福祉行財政と福祉計画
7.社会保障
8.障害者に対する支援と障害者自立支援制度、
9.低所得者に対する支援と生活保護制度
10.保健医療サービス
11.権利擁護と成年後見制度
問題数は専門科目80問、共通科目83問の計163問で、試験時間は専門科目(第4土曜日午後)が2時間20分、共通科目(第4日曜日午前)1時間15分となっています。なお、社会福祉士登録者については共通科目の免除が可能です。
このように大変広い範囲からの出題となっているため、精神保健福祉士国家試験に合格するには、精神障害者に関する福祉や保健の知識のみならず、福祉についての一定の広い知識が必要です。
国家試験受験のための資格が必要
精神保健福祉士試験は、行政書士試験のように誰でも受験できる国家試験ではありません。国家試験受験のための資格が必要になります。精神保健福祉士の国家試験受験資格を得るには、いくつかのルートがあります。1.福祉系4年制大学等で指定科目を履修して卒業
卒業時に受験資格を得ることができます。もちろん卒業見込みでも受験が可能です。通信制大学でも同様ですから、本格的に精神保健福祉を勉強されたい方にはおすすめです。
2.福祉系短期大学等で指定科目を履修して卒業
2年制の場合は2年、3年生の場合は1年の精神保健福祉に関する相談援助の実務経験で受験資格を得られます。精神保健福祉に関する相談援助を行う職種については厚生省令で定められていて、例えば特別養護老人ホームの生活相談員や地域包括支援センターの介護支援専門員は精神保健福祉に関する援助業務を行う職種にはなりません。
3.福祉系4年制大学等で基礎科目を履修して卒業
精神保健福祉士短期養成施設等(期間6か月以上)を修了することで、受験資格が得られます。
4.短期大学等で基礎科目を履修して卒業
2年制の場合は2年、3年制の場合は1年の相談援助の実務経験があり、精神保健福祉士短期養成施設等を修了することで受験資格が得られます。
5.社会福祉士登録者
精神保健福祉士短期養成施設等を修了することで受験資格が得られます。
6.福祉系以外の4年制大学等を卒業
精神保健福祉士一般養成施設等(期間1年以上)を修了することで受験資格が得られます。実務経験は必要ありませんが、1年以上の精神保健福祉に関する相談援助の実務経験がない場合は、210時間以上の相談援助実習を行うことが必要となります。
7.福祉系以外の短期大学等を卒業
2年制の場合は2年、3年生の場合は1年以上の精神保健福祉に関する相談援助の実務経験があり、精神保健福祉士一般養成施設等を修了することで受験資格が得られます。
8.精神保健福祉に関する相談援助の実務経験が4年以上
精神保健福祉士一般養成施設等を修了することで受験資格が得られます。
精神保健福祉士養成所は、通信制や、夜間部も多くありますので、働きながら学ぶことも十分可能です。
国家試験の難易度・合格率は
受験資格を得ると、いよいよ国家試験受験ということになります。精神保健福祉士国家試験の合格基準は約60%程度の正解を基準として、その試験の問題の難易度によって補正した得点とされています。ですので、6割の得点を得るのが目安と言えましょう。合計163問ですから、98問は正解しないといけません。また、1科目でも0点であれば不合格になりますから、全体的に得点を得ることが必要です。近年の合格率は、第13回で58.3%、第14回で62.6%、第15回で56.9%です。国家試験としては、比較的高い合格率といえるかもしれません。しかし、精神保健福祉実務に就いていない人にとっては、精神保健や福祉の専門用語も多く用いられ、専門的事柄も出題されているため、合格には一定の努力が必要となるでしょう。