鉄道/鉄道関連情報

よみがえる旧万世橋駅とその周辺地域(2ページ目)

JR中央線の神田駅と御茶ノ水駅の間に、かつて万世橋と言う駅があった。およそ1世紀前、東京駅ができるまでのわずかな期間、中央線のターミナル駅として賑わった幻の終着駅。その後、長らく交通博物館があったが、大宮に移転後、再開発に着手し、2013年9月14日に商業施設として生まれ変わる。旧駅の遺構も歴史的構造物として公開される。オープンに先だって、施設をご案内しよう。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド


旧万世橋駅高架下とその周辺の開発

神田川沿いの親水デッキ

神田川沿いの親水デッキ

メダリオン

壁の装飾「メダリオン」

中央線が走る高架線は赤レンガ積みの擁壁を持つ土盛アーチ高架橋である。長年の風雪に耐えてきたため、ところどころ傷みもあるが、かえって風格を感じさせる。アーチの真ん中付近には、「メダリオン」と呼ばれる丸い石の装飾があり、これはドイツの首都ベルリンの高架橋と似ている。当時、技術指導をしたのがドイツ人だったからだと思われる。

 

アーチが続く高架下

アーチが続く高架下

高架下にカフェや物販を展開する商業施設「マーチエキュート万世橋」が入るため、近代的な装いを施しているが、ヨーロッパの旧市街のように赤レンガとうまく調和した造りになっているのは好ましい。高架下内部の壁は、幾重にもアーチ状にくりぬかれた通路となっていて落ち着いた感じだ。北側の神田川沿いには、親水デッキが設けられ、通路や遊歩道として賑わいそうだ。

 



三つの広場の見どころ

D51と0系新幹線

在りし日の交通博物館入口に並ぶD51と0系新幹線


線路跡が記された交通博物館入口跡地

線路跡が記された交通博物館入口跡地

かつて交通博物館があった場所には、JR神田万世橋ビルが建っている。かなり広いオープンスペースがあり、様々なモニュメントが点在している。通りに面して、かつて交通博物館入口だったところには、東海道新幹線0系と蒸気機関車D51形のカットモデルが置いてあった。その跡地にあたる「ゲート広場」には、線路の断面をかたどったマークが線路幅ほどの間隔をおいて描かれて、さりげなくかつての場所を暗示している。

 

昔日を偲ぶパネル

記憶の広場にある昔日を偲ぶパネル

小川町、淡路町方面のJR神田万世橋ビル前のスペースは、かつて旧万世橋駅前広場があったところで、「記憶の広場」と名付けられた。中央にぽつんと線路を垂直に立てたようなモニュメントがある。それを中心に同心円状に様々な鉄道の歴史的事象を年号と共に刻んでいる。待ち合わせなどの際の退屈しのぎになりそうだ。片隅には、万世橋駅舎や交通博物館の写真パネルが3枚等間隔に並び、アクセントとなっている。

 

旧万世橋駅舎基礎の保存展示

旧万世橋駅舎基礎の保存展示

ビルの西側、御茶ノ水寄りのスペースは「憩いの広場」と言う。レンガを積んで造ったようなベンチがいくつかあり、寛ぎのコーナーとなる。また、地下にあった旧万世橋駅舎基礎部分(土台)を保存し、ガラス張りの板を広場にはめ込み、上から見ることができるようにした「遺構サークル」がある。


 
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