日本でも注目され始めた3Dプリンター関連業界
2013年1月には「3Dプリンター革命に注目!」と題して3Dプリンターの魅力に迫り、「3Dプリンターの本命銘柄、3Dシステムズ」では最大手で3Dプリンターのパイオニア企業である3Dシステムズ(DDD)を紹介しました。
日本でも3Dプリンターに関する報道が、テレビ、雑誌、インターネット等で多く見られるようになりました。そして2013年5月ごろからは日本の株式市場でも大きなテーマとなり始め、これまで見向きもされなかったような銘柄が突如3Dプリンター関連銘柄として株価2倍、 3倍の大幅高となっています。
日本の3Dプリンター銘柄としては主に4つ挙げることができます。
メーカーとして独自の3Dプリンターを製造しているのはローランド ディー.ジー.(東証1部・6789)です。もともとデジタル楽器で有名なローランド社は、映画「スターウォーズ」のダース・ベイダーのマスクを3Dプリンターで試作しました。
3Dプリンターの販売を行っている企業としては、業務用大判プリンター最大手の武藤工業を傘下に持つMUTOHホールディングス(東証1部・7999)が挙げられます。同社は米国3Dプリンター最大手、3Dシステム社の販売代理店です。
また、産業用機械の専門商社であるアルテック(東証1部・9972)は、米国2位のストラタシス社(SSYS)の3Dプリンターを販売しています。
3Dプリンターそのものではなく、立体造形の際に用いられる樹脂などの原材料を製造する化学メーカー、群栄化学(東証1部・4229)も、3Dプリンター関連銘柄として挙げられます。
欲しいものは自宅の3Dプリンターで作る「ドラえもん」時代に
3Dプリンターの応用範囲は非常に広く、人々の仕事のあり方や趣味にも影響を与えそうです。最も大きな革命は、何ができるかよりも、「パーソナライズ化」にあるでしょう。3Dプリンターは新しいものではありません。パイオニア企業である3Dシステム社は1986年からこれを製造しています。しかし、非常に高価だったので、実際に利用するのは大きな産業か大企業だけでした。
ところが2012年初頭から、10万円程度の安価なモデルが個人向けに発売され始めました。これを3Dプリンター革命と呼んでいます。
数十年前、コンピューターやカラープリンターは大企業のオフィスにしかありませんでした。それが今や、各家庭のデスクトップに普通にあるように、3Dプリンターも各家庭、各オフィス、各教室に1台という時代が来るでしょう。
インクジェットプリンターのインクカートリッジを家庭で常備しているように、 立体を作り出す樹脂、ゴム、合金などの各原料をストックし、欲しいものはインターネット上でデータをダウンロード後、自宅の3Dプリンターで作るという「ドラえもん」時代にやってくるかもしれません。ダウンロードしたデータにデザインのほか、各原料の調合加減なども含まれていれば、物流コストゼロで商品の購入が完了します。
3Dプリンター業界は世界的に急拡大中
2013年7月現在、3Dプリンター機械の市場規模は全世界で2000億円ほどといわれます。最大手の米国3Dシステムズ社の昨年の売上高は354億円( 1ドル100円換算)でした。それほど大きくありませんが、3年間で3倍もの急成長です。2位のストラタシス社の昨年度の売り上げは215億円でした。こちらも急成長しており、今年の売上高は2倍を超えると見込まれます。このほか日本をはじめ他のアジア地域欧州でも競合会社が出てきており、業界は2014年も2015年も確実に急成長すると見込まれています。
2013年2月、ExOne(XONE)という新しい3Dプリンター銘柄がナスダックへ新規上場しました。公開価格は18ドルでしたが、ほぼ一本調子で上昇を続け、2013年7月の高値は75ドルまで行きました。この新しい銘柄は規模こそ小さいですが、 3Dプリントできる材料が従来のものと異なり、金属やプラスチック、ガラスなどを使って造形することができます。
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