ヘッドフォンアンプと「良い音」の関係

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エレキット「真空管ハイブリッドポータブルヘッドホンアンプ『TU-HP01』」19,950円(税込)

ラジオをカセットテープに録音して音楽を聴いていたガイド納富は、実際の所「良い音」というのが分からないのかも知れません。好みの音はありますが、ディストーションが利いたエレキギターがガシガシとコードを刻むような音楽が大好きというガイド納富の趣味は、音の輪郭がハッキリしていて、スッキリと切れ味が良く、高音の抜けが良ければ、大体満足してしまいます。

だから、という訳ではないでしょうが、今のところ、ShureのSE535というイヤフォンを使っていれば、大体、どんな音源でも、それなりに満足の行く音で聞けてしまいます。まあ、SE535も高級イヤフォンですし、Shureのイヤフォンの中でも特に好みですから、満足するのも当たり前なのかも知れません。外で聴いている場合は、さらに、そこまで集中して聴いているわけではないので、十分過ぎるほどの音質だと思っています。
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単四乾電池4本で10時間連続使用が可能。

ただ、iPhoneや、iPodなどのコンパクトなデジタルオーディオ機器は、イヤフォン端子の出力が弱く、せっかくの良いイヤフォンの性能を活かし切れない部分は確かにあります。とりあえず、何でもいいからヘッドフォンアンプを入れるだけで、音が良くなるという訳では無いのかも知れませんが、少なくとも充実するというか、芯が太い感じになります。また大音量で鳴らした時の迫力は明らかに違います。

良いイヤフォンを活かす意味でのヘッドホンアンプの活用

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こんな風に、オーディオプレイヤーのイヤフォン端子とイヤフォンの間に繋いで使用する。

つまり、音が良くなるかどうかはともかく、せっかく良いイヤフォンを使っているなら、ヘッドフォンアンプの導入は結構お勧めですよ、という話なのですが、そこは「良い音」って何?と思っているガイド納富としては、例えばiPhoneの場合、イヤフォン端子からの出力を使う時点で、それほど「良い音」というのは期待出来ないのではないかと考えるわけです。そういう意味で「良い音」を、屋外でも聴きたいという場合は、むしろ、このガイド記事でも紹介した、iBassoの「HDP-R10」のような、デジタルオーディオプレイヤーにヘッドフォンアンプも内蔵した、本気の高音質プレイヤーを使う事をお勧めします。

もう少し、カジュアルというか、肩の力を抜いて気軽に趣味的にヘッドフォンアンプを楽しみつつ、高級イヤフォンの性能も引き出してしまおう、という感じで、とても良いなと思ったヘッドフォンアンプがあったよ、というのが、今回の記事の眼目で、それが何かというと、何とポケットに入るサイズなのに真空管を使ったヘッドフォンアンプ、エレキットの「TU-HP01」(19,950円)なのです。

真空管アンプとは、そしてハイブリッドとは?

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手前中央のチューブ状の部品が真空管。ほとんど熱を発しないタイプなので、カバンに入れて使っても大丈夫。

真空管アンプ、というだけで、何だか高級オーディオの香りが漂いますが、正確には、製品名にも書かれているように、これは、「真空管ハイブリッドポータブルヘッドホンアンプ」つまり、真空管とLSIの両方を使ったヘッドホンアンプなのです。入力部、つまり、入ってきた音の音質をコントロールする部分に真空管を使い、出力部、つまり音を大きくする部分にはLSIが使われているようです。なので、完全な真空管アンプでは無いのですが、それでも、真空管ならではの、ちょっとだけ輪郭が丸い、温かい音は確かに感じられます。

元々、別に「真空管」だから音が良いとか、「トランジスタ」だから駄目とか、「デジタルアンプ」は音が硬いとか、別にそんな事はなく、良い真空管アンプは良い音がするし、良いトランジスタアンプも良い音だし、デジタルアンプだって十分良い音を出します。ただ、それぞれに、音の特徴はあるという事です。そして真空管を使う場合は、音の歪みが耳に心地よい特性を持つ事が多い、というのが特徴になっています。その特性が、温かさや聴きやすさに繋がっているわけです。

真空管の威力とオペアンプ交換によるカスタマイズ

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出力部に使われているオペアンプは取り替え可能。ハンダ付けなども不要で簡単に付け替えられる。製品にはあらかじめ取り替えようの、音の傾向が違うオペアンプが付属しているから、音がどんな風に変わるかを試す事が出来る。

実際、この「TU-HP01」を通して聴くと、音が角張らない感じがします。しかも、きちんと増幅されているため、イヤフォンがしっかりと鳴っている感じがします。全体に音の輪郭が太くなっている感じです。それでいてうるさい感じがしないのが、真空管の威力なのかなと思いますが、実際の所は分かりません。確かに言えるのは、長時間聴くなら、この「TU-HP01」が入っていた方が楽に聴けるということです。特に、音量を小さめで聴く時のディテールのくっきりした感じと、それが柔らかく耳に当たる感じがいいですね。

かつて、真空管アンプは、真空管を交換する事で好みの音にカスタマイズしていたそうですが、この「TU-HP01」は、真空管ではなく、出力側に使われているオペアンプと呼ばれるLSIが交換出来るようになっています。しかも、最初から交換用のオペアンプも付属しているのです。交換自体も、ネジを外して筐体から基盤部分を取り出し、ソケットに刺さっているオペアンプを差し替えるだけ。ハンダ付けも要りません。交換してみたところ、ややクセが強く、低域よりも高音の抜けが重視された感じの、交換用のオペアンプの方がガイド納富は好みでした。市販のオペアンプに交換する事も可能なので、カスタマイズも面白そうです。とは言っても、それほど劇的に変化するわけではなく、微妙なバランスの違いを楽しむ、といった機能と捉えた方が良さそうです。

ガイド納富の「こだわりチェック」

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フロントパネル。ボリュームと、入力ゲインの切替えの他は、入出力端子だけのシンプルな構成。ゲイン切替えスイッチがあるので、オーディオ機器との接続も可能。

それにしても、凝ったアンプだと思います。真空管アンプとしてはかなり安価だし、ヘッドホンアンプとしても安価な方になる製品なので、劇的な音質向上のための製品ではない事はすぐ分かると思うのですが、それだけに、オーディオの「遊び」の部分の面白さをたっぷり伝えてくれる製品に仕上がっていると思うのです。その、まるで西部劇の酒を入れておくフラスコのような形と大きさ。交換用のオペアンプとフロントパネルが付属していること、ボリュームとゲイン切替えスイッチ(高出力のオーディオ機器に繋いだ時に使う)しかない操作部分などなど、その全てが、音楽を聴くための儀式的な面白さに満ちています。もちろん、実際に聴きやすい音を出してくれる、ちゃんとしたヘッドフォンアンプですが、それ以上に、持ち歩いて聴く真空管アンプという洒落っ気を、きちんと商品化している所が、ガイド納富の気に入っている所です。ワクワクするじゃないですか、ポケットに真空管が入ってて、それがiPodを鳴らしているというのは。

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次回予告。この専用ケースと一緒に使う事で、この真空管アンプは更に使いやすくなります

そして、この「TU-HP01」を持ち歩くために作られた専用ケースがあります。これがまた、シンプルな見た目ながらマニアックに作り込まれた名品。次回は、そのケースと、真空管アンプを持ち歩く面白さについて書きますので、この記事と併せて、そちらも読んでいただけると嬉しいです。

<関連リンク>
真空管ハイブリッドポータブルヘッドホンアンプ「TU-HP01」は、エレキットのサイトから購入できます。
エレキットのサイトには、本格的な真空管アンプも売っています。
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