1600もの顧客を持つ紡績メーカー、天虹紡織
中国最大の紡績メーカー、天虹紡織の成長性をチェック
1997年の創業以来、同社は国内、ブラジル、トルコ、バングラデシュ、日本、韓国などに計1600の顧客を持っています。香港証券取引所には2004年12月に上場しました。事業本社は上海にあり、長江デルタ地域に11の工場、さらにベトナム、香港、マカオ、ウルグアイにも生産拠点があります。
同社の時価総額は約1400億円で、日本の最大手・日清紡(東証3105)を少し上回る規模です。ただし、紡績メーカーとしてスタートした日清紡の現状は、エレクトロニクス製品とブレーキ製品が事業の中心となっており、繊維事業はもはや1割強しかありません。日本の紡績メーカーは多角化を目指し、繊維部門を縮小する一方です。すると今後ますます、日本は綿糸や織物を中国最大手である天虹紡織などから輸入することになります。
中国の人件費高に対処するため海外移転加速
同社の生産設備は合計で100万個の紡錘機、 900のエアージェット式織機、従業員数は1万2800名です。生産の中心は綿を中心とする糸で、昨年の生産量は前年比+28 %増となる24万3000トンでした。多くの糸は生地を織る外部の繊維企業に販売されますが、一部は自社で織物も作ります。さらにごく一部ですが、婦人物を中心とする最終繊維製品(ブラウス、スーツ、ドレスなど)の縫製を行う業務もあります。糸、織物、製品という一貫式の繊維メーカーです。経営課題としては、中国の人件費高にどう対処していくか(2012年の繊維業界平均+10 %増)があります。1つの解決法として、海外への生産拠点シフトがあります。同社は既存のベトナム工場に加え北ベトナムにも新たな工場の建設を昨年7月より開始し、今年第2四半期より一部生産開始予定です。その投資総額、11億人民元です。さらに南米ウルグアイにも4億人民元をかけて合成繊維の糸工場を建設中で、こちらは2014年完成予定です。
すでに中国国内の生産量は全社の半分以下となっているところですが、今後さらに比率は下がっていきます。成熟期を迎えた中国繊維業界の中心企業として、グローバル化対応で成長を続けたい様子です。
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