鉄道/観光・イベント列車

北近畿タンゴ鉄道の「丹後あおまつ、あかまつ」号(2ページ目)

日本三景のひとつ天橋立を沿線の目玉観光地にもつ北近畿タンゴ鉄道(KTR)の新しい観光列車「丹後あかまつ号」「丹後あおまつ号」が2013年4月にデビューした。青い車体の「あおまつ」と赤い車体の「あかまつ」とをつないだ2両編成で、外装、内装を担当したのは、JR九州の観光列車で定評のある水戸岡鋭治氏。彼が、近畿地方の列車をデザインするのは、和歌山電鐡に続く2例目である。どんな列車なのか、試乗記を交えて紹介しよう。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド


「丹後あおまつ2号」の旅、その1(西舞鶴~宮津)

カウンター席から眺める由良川河口

カウンター席から眺める由良川河口

北近畿タンゴ鉄道の東の起点である西舞鶴から福知山行きの「丹後あおまつ2号」に乗ってみた。五月の連休後まもない平日のせいか、車内は閑散としていた。あらかじめ、乗車整理券を入手しておいたので、後ろの「あかまつ」車両に乗る。席はより取り見取り。とりあえず、カウンター席を確保する。

記念乗車証とお手拭き

記念乗車証とお手拭き

西舞鶴を出て、JR舞鶴線と並走したのち、右へカーブして旅が始まる。最後尾のミニ展望スペースからカメラ片手に出発直後の様子を眺め、一段落したところで席に戻ってみると、テーブルの上には、カラフルな葉書サイズの記念乗車証とお手拭きが置いてあった。まもなく、女性アテンダントが挨拶にやってきた。

由良川橋梁

列車最後尾から眺めた由良川橋梁

各駅停車なので、小さな駅にも丹念に停まっていく。そのたびに、アテンダントはホームにでて安全確認や乗車チェックをしている。まもなく、左手に由良川が流れているのが目に入る。しばらく川沿いに走ったのち、丹後神埼を出ると、大きく左にカーブして、由良川を渡る。列車は、速度を落とし、おそるおそる横断するかのようだ。河口近くで、鉄橋の高度が低く、満々と水を湛えた水面ぎりぎりのところを通り過ぎるのは迫力満点だ。最初の絶景ポイントというわけで、列車は最徐行し、案内放送もある。満員なら何人かの乗客は立ち上がって、あちこち移動しながらシャッターを切り続けることだろう。空いているので、席を移動するのも簡単だ。由良川を渡りきると丹後由良に停車。発車して、ようやく本来のスピードに戻る。
奈具海岸の車窓

奈具海岸の車窓

ソファーの背後の眺めは奈具海岸

ソファーの背後の眺めは奈具海岸

今度は右手に日本海が見えてくる。断崖絶壁を縫うように走り、トンネルを出ると、ゆっくりと駅でもないところで停車する。第二の絶景ポイント奈具海岸である。入り組んだ湾を囲む山々、絶壁の真下に打ち寄せごつごつした岩に砕ける波しぶき。道路も並走しているけれど、線路がはるか高いところを走っているので、遠くの海を見ている分には気にならない。絶景を堪能したのを見計らうように列車は運転を再開、湾沿いに走る。対岸に目立つ人工物は、関西電力のエネルギー研究所。まもなく半島の付け根部分にあたる山越えとなり、再び海が見えてくると、湾の真ん中に細長い砂州が延びているのに気づく。すかさず案内放送が入り、天橋立だと分かる。
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