移民を積極的に受け入れてきたスウェーデン

スウェーデンは数年前まで平和な国のイメージがあったのだが……

スウェーデンは数年前まで平和な国のイメージがあったのだが……

スウェーデンといえば、「福祉先進国」の代名詞のように語られることが多い国。「ゆりかごから墓場まで」という言葉に象徴されるように、赤ん坊の頃から高齢期まで、国による手厚い福祉で国民が守られている国として知られています。

税金は高いのですが、その分医療費は未成年なら無料(大人も極めて低負担)。大学も無料、給食費も無料など、一見すると低所得層にはとても優しい社会のようにも見えます。

自国民だけに向けられているものでもありません。スウェーデンは何十年も前から移民を積極的に受け入れており、また移民にも多くの権利や福祉を与えています。

アフガニスタンやシリアなど、紛争地域からの難民も多く受け入れ、結果として現在はスウェーデンの住民の約15%もが外国生まれとなっています。

警官による射殺を機に暴動が拡大

スウェーデンは、移民にスウェーデン語を覚えてもらい、かつ自国文化や風習にもなじみ、生粋のスウェーデン人と一体となって新しい国を作っていくことを期待していました。

しかし、その期待通りにはいかず、多くはスウェーデン語を習得していないといいます。また、スウェーデンの文化や風習になじんでいない移民もたくさんおり、モスクが次々と建てられるなど、イスラム化している地域もあるといいます。

そんな中、今月の5月中旬、スウェーデンの首都ストックホルム郊外で、ある高齢者の男性が警官に射殺されました。それを機に、ストックホルム周辺で移民達が一斉に暴動を起こします。

背景には失業など、社会への不満が

暴動は5月19日から始まり、移民の若者を中心とした暴徒はショッピングセンターを破壊したり車に放火するなど、目的のないまま破壊行為を続けています。

最初に警官が老人を射殺したのは、ストックホルム北西の郊外ヒュースビー地区で、ここは移民が住民の約8割を占めるといわれています。しかし、その後暴動は拡大し、ストックホルム周辺の多くの地区で同様の破壊行為が起こりました。なかには警察署が襲撃された地区もあります。

暴動は19日だけで終わらず、その後6夜連続、24日まで続きました。それ以降はようやく沈静化の兆しを見せています。

移民が暴徒化してしまった背景にあるのは、失業や差別問題といわれています。移民の多くはスウェーデン語が話せないので、ホワイトカラーや管理職など高収入の仕事に就けません。結局、仕事といえば低賃金のものしかなく、それすらもない失業者がたくさんいます。

そのため、移民のなかにはスウェーデン政府や社会への不満が溜まっており、今回警官がある老人を射殺したことによって爆発してしまったものと想像されます。