さて、今日は「昆虫採集・観察」を学ぼうか!
1時限目:田舎暮らしでファーブル少年になろう
画像はイメージです
これから夏にかけて、田舎の毎日は大騒ぎ。夜中にはカサコソかわいいカニが移動するし、事務所の隅でコオロギやキリギリスが小さなコンサートを開いてくれるし……。
小学生の頃、クラスの男子のほとんどが虫を好きだったはず。ザリガニやカエルを釣り上げた小川、そしてカブトムシやクワガタが潜む雑木林。その他にもダンゴムシにオケラ、カマキリ、バッタ、セミ、ハサミムシ……。朝から晩まで走り回り、毎日がキラキラ輝いていたあの頃が懐かしく思い出されます。
2時限目:田舎暮らしの昆虫ワールドを探検しよう
虫に刺されたり植物のトゲなどに引っ掻かれないように、帽子、軍手、長袖、長ズボンが定番ファッション。また、山歩きは迷いやすく転落の危険もあるので、履き慣れたスニーカーも必需品です。夜の観察なら、赤いセロハンを貼った懐中電灯。昆虫には赤い色があまり見えないので、相手を驚かさずに近づくことができます。そして頭にはヘッドランプ、ポケットにペンライト、という装備なら昆虫探検隊員の一丁上がりです。あ、それから虫刺されの薬もお忘れなく。
探して回る採集が基本ですが、昆虫採集のための理想のエリアというものがあります。必ずしも遠くへ行く必要はありませんが、それでは出会える昆虫が限られてきます。
・雑木林を探検する
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林の中は半ば日陰の状態で空間もあり、虫たちにとっても住みやすい環境になっています。
風が弱くて蒸し暑い日が狙い目。特に、雨が降った日の翌日は、虫たちもお腹が減っているのでチャンスです。ただし、スズメバチもやってくることもあるので要注意。昼間なら蝶、夜に行けばカブトムシやクワガタなどに出会えます。彼らは夜行性でクヌギやコナラの樹液が大好きで、午後8時から10時ごろがいい時間帯でしょう。
・川や池を探検する
田舎の池は水生昆虫の宝庫。水面にいるのはミズスマシ。ミズカマキリやタイコウチは息継ぎをするために水面に浮かぶので、その時を待って網でキャッチ。タモ網で藻のある浅瀬を軽くすくうと、ゲンゴロウ、タガメ、ミズカマキリなどが網に入ります。また、泥の中を根気よく探せばヤゴが見つかるはずです。
池の周囲をよく飛んでいるのが、オニヤンマやシオカラトンボなどのトンボ類。トンボの王様・オニヤンマも水辺の山道、渓流付近、田んぼの水路近辺にいます。飛んでいるトンボは後ろから網で捕らえるのがコツです。オニヤンマは通り道が決まっているので、捕り逃がしても同じ所で待っていれば再チャレンジできます。
3時限目:いろんな虫の採集・観察法を試してみる
・ルッキング(looking)画像はイメージです
網を使う、ピンセットでつまむ、直接手で捕まえる。ひたすら追いかける!
・ビーティング(beating)
木の枝や草、花、キノコなどを叩き、その下のビーティングネットに昆虫を落として採集する方法。この方法ではコガネムシやオトシブミ、タマムシなどが採集でき、肉眼だけではなかなか見つけられないような小さな虫や珍虫が見つかったりします。
棒などで叩きまくる、いろいろな昆虫がポロポロと落ちてくる。
・スウィーピング(sweeping)
ビーティングと同様に、木や草などを捕虫網で無差別にすくい捕る方法。樹上をスウィーピングする場合には長竿に取り付けたネットでバサバサやります。ビーティングが叩いた衝撃で落ちる甲虫の習性を利用しているのに対し、こちらはハチ類・カメムシ類・ハムシやゾウムシなどが採集できます。
珍種発見を目指してすくいまくる。
・トラップ(trap)
昆虫の習性を利用してワナを仕掛け、お目当ての虫を誘き寄せる採集法。蛍光灯などで虫を集めスクリーンを張って採集するライトトラップと、地面に埋めた紙コップなどに餌(ベイト)を入れ、その匂いで誘惑するベイトトラップがあります。
ワナが通じるかワナを見破るか、人と虫との頭脳戦。
放課後:昆虫採集から観察へ
子供の夏休みの宿題の定番だった昆虫採集。しかし、標本づくりは虫を殺すから野蛮だ、むしろ観察することが大事だ、という昆虫採集を奨励しない方向へ理科の指導が変わってきているようです。これには、自然環境の破壊が進んだこと、子供が野外に出ることが少なくなったことなどの要因があるといわれています。現在でも、自然観察教室などでは、標本づくりは避け観察しようと指導しているところもあります。あまり取りすぎるのは禁物。田舎暮らしでは自然の生命力を感動しつつ、節度をもって採集・観察しましょう。
絶対あの頃に戻れますぞ。