私が取材にお伺いした時は、ちょうどまだ焼き上げる前の仕込み中だったのですが、捧シェフが考案した人気の焼き菓子の一つが「サブレ・ラ・メール」。“海のサブレ”という名前の由来は、手間隙をかけた高級なバター作りで知られるフランス・ボルディエ社の製品の中でも、ちょっとマニアックな海藻入りバターを使っていることから。粒々に見えるものが、赤や緑の色とりどりの海草を細かく刻んでバターに練り込んだものです。
日本人から見ると驚きかも知れませんが、フランスの大西洋沿岸・ブルターニュ地方などでは、海藻を練り込んだバターやパンが作られています。ミネラル分がアクセントとなり、サブレの風味をぐっと引き締めて味わい深いので、ぜひ試してみてください!
フランス菓子のベーシックアイテムですが、その分、お店によって様々な個性が出るお菓子でもあります。捧シェフの「マドレーヌ」はシンプルなバターの風味が主役。最近は、焼き上がった後に外しやすいシリコン型なども出ていますが、捧シェフは、金型にバターを塗ってから焼くという、昔ながらの焼き方にこだわります。
また、同じくフランス菓子の代表格である「フィナンシェ」も、ぜひ味わってほしい焼き菓子の一つです。最初に入社した「ルコント」のものを召し上がった時に衝撃を受けたそうで、捧シェフの人生に多大な影響を与えたお菓子なのです。その伝統の味と製法を継承し、ぎりぎりまでしっかり焦がしたバターを使って、中はしっとり、外側はカリッと香ばしく焼き上げています。
「ディアマン」は「ダイヤモンド」の意味で、周囲にまぶしたグラニュー糖がキラキラすることから名付けられた、フランス菓子の定番アイテムの一つです。サクサクしたクッキーに、そのグラニュー糖の食感が加わり、アクセントになっています。バニラの香るプレーンタイプとショコラと合わせて、ちょっとしたプチギフトにもお薦めです。
以前のお店と同様、コンフィチュールも、季節に応じて、フレーズ・リュバーブ(苺とリュバーブ)、アプリコ・ロマラン(アプリコットとローズマリー)、フランボワーズ・ローズ(木苺とバラ)、ペッシュ・ド・ヴィーニュ・ヴァンブラン(赤桃と白ワイン)、アナナスヴァニーユ(パイナップルとバニラ)、グリオットヴァンルージュ(グリオットチェリーと赤ワイン)など、一工夫を加えた複数種類が並ぶ予定です。捧シェフの故郷である新潟県産の苺・晩生種の「越後姫」を使ったコンフィチュールが登場することも!
お店のテーマカラーと同じ淡いグリーンのギフトボックスに、焼き菓子やパウンドケーキ類を詰め合わせれば、エレガントなプレゼントとして喜ばれそうです。
パウンドケーキは、ホールサイズで焼いたものを、常時8種類は揃える予定だそうで、さらに季節限定など特別な物が加わることもあり、多い時は10種類にもなるというから、バリエーションが楽しみですね。
最初にご紹介した「ケーク・パルファン」をはじめ、捧シェフのルーツである「ルコント」のスペシャリテ「ケーク・オ・フリュイ」の製法を継承する、洋酒漬けフルーツがぎっしりの贅沢なフルーツケーキ、上で紹介した「サブレ・ラ・メール」と同じ海草バターを使った「ケーク・ラ・メール」、「ケーク・オ・キャラメル」、「キャトル・キャール」などが揃います。
そして、「ロワゾー・ド・リヨン」時代にレパートリーを増やしたヴィエノワズリーは、人気のクロワッサンなど、オープニングフェア後にはすぐに始めたいとのこと。キッシュなどのサレ物も期待大です!
さらに次のページでは、これ以外にも注目すべき、「パティスリー ユウ ササゲ」の隠れた見どころをご紹介します。これを知っていればかなりの「通」です!