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木造2階建て住宅では構造計算が要らないって本当?(2ページ目)

木造2階建て住宅を建てるとき「構造計算書は要らない」と耳に挟んだことはありませんか。本当に構造計算書は不要なのでしょうか?

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド


一般的な木造戸建て住宅の構造チェック

それでは「一般的な木造戸建て住宅の構造の安全性のチェック」の内容を見ていきましょう。多くの場合「建築基準法施行令の第3章構造強度第3節木造」及び「第2節構造部材等」に規定している方法でチェックをしています。そこには3つの簡単な計算方法と8つの仕様が決められています。

 

3つの簡単な計算方法とは

柱頭・柱脚がしっかり緊結されていないと地震時に引き抜けて倒壊・崩壊する可能性がある

柱頭・柱脚がしっかり緊結されていないと地震時に引き抜けて倒壊・崩壊する可能性がある

3つの簡単な計算方法には以下の方法があります。

1.壁量の確保(壁量計算)
2.壁配置のバランス(四分割法)
3.柱の柱頭・柱脚の接合方法

ここでは主に、地震力や風圧力に対抗するために必要な壁(耐力壁)の量が確保されているかどうかのチェック、耐力壁がバランスよく配置されているかどうかのチェック、柱の上下がしっかり緊結されているかのチェックを、それぞれ計算によって確認します。

 

8つの仕様とは

基礎の形状等にも仕様規定がある。

基礎の形状等にも仕様規定がある。

次に取り上げる8つの部分については建築基準法に定める仕様を守ることとしています。

1.基礎
2.屋根ふき材等の緊結
3.土台と基礎の緊結
4.柱の小径等
5.横架材の欠込み
6.筋交いの仕様
7.火打材等の設置
8.部材の品質と耐久性の確認

例えば「基礎」では基礎の断面の形状や配筋方法など構造方法を規定しています。また「屋根ふき材等の緊結」では、屋根ふき材や外装材が風や地震で落ちないよう、留め方が規定されています。

このように、一般的な木造戸建て住宅(2階建て以下)については、この3つの簡単な計算方法と8つの仕様を守っていれば構造の安全性を確保していると見なされます。大規模建築物に必要な許容応力度計算等の構造計算は求められていません。従って、構造設計士が別に構造計算を行うというよりも、建物の間取り図等を決める設計士が同時に構造チェックを行っていることが多いでしょう。

 

木造3階建ての構造計算

それでは木造3階建ての住宅に関してはどうでしょうか。木造3階建てになると本格的な構造計算が必要になり、確認申請書には構造計算書を添付する必要があります。また、自治体によりますが、2階建てではほとんど義務付けていない中間検査を3階建てには義務付けているところが多くなります。

 

構造チェックを確認しよう

以上に述べてきたように一般的な在来木造、2階建て以下の建物では、確認申請時に複雑な構造計算は求められず、審査の簡略化が認められています。しかしそれは構造の安全性のチェックをしなくて良いということではなく、建築基準法で定められた計算方法と仕様規定を守る必要があります。

これからご自宅を新築される場合は、確認申請で書類の提出こそ要求されませんが、これらの方法によってしっかりと建物の構造の安全性がチェックされているかどうか確認すると良いでしょう。

 


【参考サイト】
一戸建ての構造計算はどうなっている?(長く暮らせる家づくり)
3階建てをたてる時のポイント-構造編-(家を建てる)
【関連記事】
「形」でわかる地震に強い家・弱い家
プロが行う木造戸建て住宅の耐震診断

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