一括贈与の税制上のメリット
どんな人にメリットがあるのか?
(※)贈与は法律行為なので判断能力のない人は贈与できません。
従って、贈与を受けても痴呆・死亡前に使いきってしまう人には、メリットはありません。従来からある贈与税の非課税を使えば済むためです。
一括贈与の税制上のデメリット
一括贈与のデメリットは、受贈者が30歳に達した日に金融機関に残額があるときは、その残額に対して贈与があったものとして贈与税が課されることです(※)。さらにその残金には、教育資金以外に支払われた金額も含めます。(※)ただし、受贈者が30歳になる前に死亡した場合には、残額については、贈与税は課されません。
例えば1500万円の一括贈与を受けて、教育資金に1000支払い、それ以外に300万円支払い、残金が200万円の場合には、残金の200万円と教育資金以外の300万円の合計500万円に贈与税がかかります。
どんな人にメリットがあるのか?
では、どんな人にメリットがあるのでしょうか? メリットがあるのは、相続税がかかる人で、贈与者が認知症になった後や死亡後に教育資金を使う人です。ここでの相続税は、平成27年1月1日以後の相続税改正後(※)で考えた方がいいでしょう。(※)相続税の基礎控除は3000万円+600万円×法定相続人の数(現行:5000万円+1000万円×法定相続人の数)
どうして相続税がかかる人に限定されるのか? それは、相続税がかからなければ、被相続人の遺産に対して相続税(移転コスト)がかからず、取得できるためです。
「贈与をすると無駄遣いするのではないか?」と贈与を控えていた人も、教育資金なら贈与してもいいと考えているようで、セミナーを行なっても聞き手の注目度が違います。税制上のメリットは限定的ですが、「教育資金の贈与」というキーワードがよかったのでしょうか。
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