保健師/保健師とは

私的データでみる最近の保健師(2ページ目)

これまで私が取材してきた全国の若手保健師たちについて、興味深いデータをご紹介します。サンプル数は64名。いずれも2007年から2012年にかけて私が直接お会いし、じっくり2時間以上かけて話を聞いてきた入職3年以内(当時)の方たちの話です。

西内 義雄

執筆者:西内 義雄

保健師ガイド


海外体験組も

大学卒業後看護師として働いた後、JICAで中東に保健師として赴任経験をした方、資格取得後、カナダの農業大学に入学し英語と農業を学んだ方もいます。いずれの経験も、後の保健師活動に役立ったといいます。

一方、他職種を経験していると気付く問題点もあるようで、前出の民間企業経験者からは、公務員独特の考え方や仕事の進め方に戸惑ったとの話を聞きました。これは公務員の宿命とでもいいましょうか、何をするにも書類が優先されたり、手続きが重視されるためです。

看護師経験者からも、毎日病棟を走り回っていた生活に比べると、思った以上に事務仕事が多いとの声もよく聞きました。なかには「長い間座っているとお尻がムズムズしてきます。気分転換したくても、頻繁に席を離れられないのが辛かった」との声も(笑)。

学歴について

64名の最終学歴で最も多かったのは大学で39名(約61%)。次いで保健師学校・専攻科で22名(約34%)。残りは大学院で3名(約5%)です。もう少し細かく見ると、大卒39名のうち専門学校等からの編入組は8名。大学院は3名とも修士で、うち1名は大学編入組。出身大学のなかで私立は9校のみ。ほとんどが国公立でした。
専門学校・専攻科卒で学位まで取っているのは1名のみ。これからは増えるかもしれませんが、まだまだ数は少ないのですね。

余談ながら、大学院卒業者が悩む就職問題として、小さな町だと「大学院まで出ているのに」と敬遠されがちな例があったといいます。

私なりのまとめ

保健師は専門職です。公衆衛生に関する最新の知見を意識することはとても大切なことですし、知識が深ければ仕事をしやすくなります。一方、いくら事務仕事が多くなったとはいえ、人と接することが重要な意味を持つことも確かです。ここに求められるのは知識よりも人柄、気持ちのほうで、社会常識・経験がモノをいいます。

住民は保健師に対して臨床経験や学歴を求めていないと思うのです。どれだけ相手のことを思いながら、しっかり仕事をしてくれるか。それが大切です。
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